大渕の丸火自然公園の東端に小さなほこらがひっそりと建っています。ここには、大渕小僧という子供をまつってあります。今回は、この大渕小僧のお話を紹介します。
手に負えない悪童
ずっと昔のこと、大渕新田に大渕小僧と呼ばれる手に負えない悪い子供がいました。
大渕小僧は、両親と死に別れ、おばあさんに育てられました。ただでさえ寂しい上に、近所の子供は「親なし子」だといって遊んでくれません。ですから、だんだん心がすさみ、畑を荒らしたり、人をだましたりするようになりました。そして、人に嫌(きら)われれば嫌れれるほど、子供とは思えぬ悪さをしました。
小僧のたたり
困った村人は、おばあさんに注意をするよう言いましたが、おばあさんは、少しも相手にしません。
村人の中には、小僧を殺してしまえという者が出てきました。名主は反対しましたが、村の中が殺気立ち殺すことに決まりました。
おばあさんは、小僧に「粟(あわ)の粒ほどたたってやれ」と言いました。
翌朝、小僧は村人に殺されてしまいました。それから、小僧を殴(なぐ)った人が次々と急に死に、村には原因不明の病気がはやりました。
だれいうことなく「これは小僧のたたりだ」と言うようになりました。村人は、「悪いことをした」と悔(く)やみ、子供の霊(れい)を神としてまつりました。すると、村人の病気は、たちまち直りました。
小学生が時々お参り
大渕3丁目の佐野うめさん(85歳)は、「大渕小僧の話は子供のころから自然と聞いています。地の神様としてまつられ、地元の小学生などが時々お参(まい)りしているよ。」と語ってくれました。
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( 写真説明 ) 丸火にあるお堂
( 写真説明 ) 佐野うめさん