小児科の外来に若い母親が、生後6か月前後の乳児を連れて心配そうな顔をして来院する。
医師 「どうしましたか?」
若い母親 「昨夜から熱が高いのですが…」
診察すると、乳児は割と機嫌よく、顔色は熱のためかやや紅潮しているが特に目立った変化はない。こんなとき、医師は、“突発性発疹”という乳児に特有の病気を念頭において若い母親に説明し、不安をやわらげて帰宅させることがよくあります。
突発性発疹という病気は、主として生後1年以内の乳児がかかり、3、4日間高い熱が続き、急に熱が下がると同時に全身にハシカのような発疹が出て、1〜3日間位で消えてゆく急性の伝染性の病気です。原因は、ある種のウイルスであろうと言われていますが、まだ、はっきりしていません。診断の一つの目安として、生まれて初めての発熱である場合が多く、熱の割合にはその原因と思われる点が少なく、抗生剤が無効です。時に、発熱第1日から3日位の間に、永山(ながやま)斑と言われる発疹が口内粘膜にできることもあります。
この病気は特に重い合併症もなく、経過はよいとされていますが、嘔吐(おうと)や下痢などの胃腸症状や、熱性ケイレンを伴うこともありますので、その予防には気をつける必要があります。そのためには専門医の受診をおすすめします。 〈富士市医師会〉