我が子の成長を見るのはうれしいものです。卒業式ほど子供の成長を感ずるときはありません。ことしも多くの人が、新たな社会に巣立っていきます。
今回は、「卒業式」というテーマで、感動したことや我が子への期待などのお便りをいただきました。
障害に負けないで
松岡悳味(とくみ)さん 主婦 森島(46歳)
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我が家の娘、現在18歳。脳性小児麻痺のため、小学校は韮山の東部養護学校で卒業式を迎えました。
入学前は単音しか言葉のなかった娘が、どうにか話せるようになり、卒業生代表の挨拶をしました。たどたどしい言葉ながら一生懸命でした。
途中で気持ちが高ぶり、大声で泣き出してしまい、他の子供たちもつられてオイオイ泣き出し言葉にならず、友達にかわってもらうハプニングもありました。私も涙が止まらず、娘の姿が見えませんでした。
3年後、富士南中での卒業式。普通学級の生徒と一緒に名前を呼ばれ、体をよじ曲げて壇上にあがりました。
学校で大声で泣きわめいたり、登校拒否を起こしたり、いろいろなことがありましたが、なんとか卒業でき、私は目頭が熱くなりました。
校門を出るとき、「私たち親子はこれからが大変なんだ。がんばらなくては…。」と私自身に言い聞かせました。
未来へのスタートライン
藤島たかねさん 主婦 松岡(40歳)
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親として初めて長男の卒園式に出席したときのこと。不思議なもので卒園式の歌の練習中は大声で歌っていたのに、幼い子供たちの無心に歌っている姿を見た途端、ポタポタと流れた涙は忘れられません。
アッという間の2年間。きれいに食べてくれたお弁当が一番うれしく、毎日ハイキングのような楽しい気持ちで作ったものでした。
その息子も来年は中学卒業の年。また出るだろうな涙が…。
思い出は自分が作るもの。たくさん思い出のある人はきっと心も豊かです。
子供には思い出を明日へのエネルギーにして欲しい。卒業とは「終わり」ということでなく、次へのステップではないでしょうか。私は「未来へのスタートライン」だと思っています。
社会に出てもがんばれ
秋山鉄子さん 食堂自営 中丸(44歳)
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我が家には高3の娘と中3の息子がいる。そろって卒業である。
小さいながらも食堂を始めてはや8年。子供たちにとって一番大事な時期に、毎日の雑用に追われ思うように面倒をみてやれず卒業となってしまった。いま、アルバムを眺めながら一年一年のその子なりの成長を感無量で味わっている。
高校卒業の娘は、3年間強い雨風にも負けず自転車で通いとうした。
無遅刻、無欠席で、無駄追いもせず、友達を大切に、自分が決めた目標を一心に実行してきた。それをいま、息子が娘から与えられた課題として、娘に負けずがんばると約束した。
社会へ巣立つ娘は、この先、人間関係やいろいろな問題で悩むときもあると思うけど、自分に負けないでがんばって欲しいと願っている。
卒業式に歩いていった息子
吉田夏子さん 会社員 百合ヶ丘(48歳)
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私の長男は卒業式の前日に、自宅から清水東校まで、40キロメートルに近い道を一人で夜、歩いて行きました。
長男は「昔はみんな歩いて学校へ行ったのだ。今日は最後の日だから歩いていく。」と言って出かけていきました。
卒業式の日、息子の姿を見つけたとき、「やったね、典之君」と思わず胸をなでました。
冬の朝、暗いうちに家を出て、勉強にも部活動にもがんばった息子は、在学中に1年間アメリカへ留学、また、オーストラリアへも文部省の科学奨学生として行きました。
卒業式の日に名古屋大学への合格も決まりました。
私は校舎に向かって、「4年間在席させていただきありがとう」と言って帰りました。