初秋の森で目立つ鳥といえば、カケス(カラス科)であろう。ハトより小型の美しい鳥で頭の上は白に黒の縦はん、背と下面はぶどう色、飛しょうするとき黒い尾と白い腰、白黒まだらの翼が目立つ。鳴き声はジェーイ、ジェーイと低音だが、ときに他の鳥の声をまねる。木の実、虫、トカゲやカエル等を食べるが、繁殖期には他の小鳥の卵やひなを奪って食べる。丸火の森にサンコウチョウが巣づくりしなくなったのも彼等のせいであろう。夏は富士山の森林限界あたりまで移動するものもある。毎冬訪れた、北八ヶ岳の黒百合山荘で残飯等でえづけをしたところ、タヌキ、テン、オコジョ等とともにカケスがたくさん集まったとのこと。仲間を集めることがうまいらしく、残飯等をえさ台に置くとたちまち20羽くらい集まり、他の鳥を追い払って独占する。時にリスと争う。しかし、しっぽを大きく広げておどすリスにはかなわず、立ち去るまで近くの梢(こずえ)で待っている。頭のよい鳥で「遠野物語」に出てくる不気味な話は真実だと思う。
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( 図表説明 ) 橘田権治さん
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( 写真説明 ) パンを食べるカケス