橘田権治さん
梅雨の中、森を歩くと、ときに珍しい花、オニノヤガラ、シャクジョウソウを見かける。木の花はイボタ、リョウブ、ヒメシャラ、フジキ等の白いものが多く、小道に落花が美しい。ノリウツギの花も目立つ。この木から糊をとり、紙抄きに使う。
やがて森にヒグラシが鳴く。梅雨晴れの朝夕、おびただしい群が森を渡って一斉に鳴く。梅雨があがると暑い日が続き、午後になると激しい雷雨が荒れ狂う。
森の中はヤマユリの芳香が漂い、クリの花が匂う。アオダイショウ、マムシ、ヤマカガシ、シマヘビは雨の翌日、日当たりを求めて身干しをする。人に嫌われるヘビはノネズミをよく食べ、森の緑を守ってくれる。イタチの子もヘビが捕食する。成長したイタチはヘビを食べる。いわゆるイタチゴッコである。
早朝日の出前後、クロツグミ、アカハラ、サンコウチョウ、オオルリ、コルリ、ホトトギス、カッコウ、ウグイス等がさえずり、アカゲラのドラミングがさわやかに森に響く。
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( 写真説明 ) ノリウツギ