市は、こどもたちを緑の多い環境の中で育てていこうと、今年度から学校等の境界環境保全林植栽事業を始めました。
植栽の方法は、横浜植生学会の宮脇昭先生から提言された潜在自然植生に基づくり土地本来の常緑広葉樹を主役にしながら行っています。
心豊かなこどもたちをはぐくむ、潤いのある教育環境づくりと地域社会の緑の核つくりとしての環境保全林事業が注目されています。
みんなで植栽
今年度は天間幼稚園、岩本保育園、第三保育園、富士中学校、須津中学校の5か所に875万円の事業費で植栽しました。いずれも全体的な植栽工事は造園業者が行いましたが、ポット苗等については、生徒、児童、PTAを中心に町内会や緑化指導員などの参加も得てみんなで植えました。
苗木は、現在60センチメートルぐらいの大きさですが、1年に1メートルぐらい伸びる樹種が多いので5、6年後にはこどもたちの手が届かない高さになり、緑も濃くなります。
植栽をしてくれたこどもたちが卒業、卒園をし、大人になるころには、環境保全林として立派な森になり、懐かしい思い出話の一つになるでしょう。
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自然を楽しむように
緑陰の形成、防風、防じん、防音などの総合的な環境保全機能に加えて、四季感豊かな緑の環境づくりを図るため、横浜植生学会の宮脇昭先生から提言された潜在自然植生に基づく土地本来の常緑広葉樹を主役にしながら、花木、実のなる木、落葉樹なども使って、将来小鳥や昆虫頬が共存する自然的な植栽をしました。
環境保全のために常緑樹のクスノキ、タブノキ、アラカシ、スダジイのポット苗を植栽し、また自然観察林としては、虫の集まるクヌギ、コナラを、さらにこどもたちに自分で育て、収穫する楽しみを教える面からは実のなる柿、すもも、さくら、栗、びわ、ざくろなどを植えました。
季節感や美しさを感じさせるために、つつじ、くちなし、さざんか、つばきなど四季の花木も植えてあります。
みどりの中で選ぶ
学校等はこどもたちの教育の場であり、幼少時に生活の大半を過ごす地でもあります。したがって、体験を通しての自然とのふれあいが、大人になっていく際、重要な役割を果たします。
現在のように過密、密集した都市にある多くの学校では、周囲に騒音などの都市公害から学校をしゃへいしながら、できるだけ四季を通して効果のある常緑広葉樹による境界環境保全林をつくることが最も重要です。
期待される効果
多くの機能のうち、ある程度物理的に認識できる主なものとして、防災機能、環境浄化機能などが挙げられます。
防災機能としては、防火機能、土砂の流出防止機能などがあり、環境浄化機能としては、気温、湿度等の調整機能、防じん機能、大気浄化機能・騒音振動防止機能などがあります。
また、本物の自然と接することによる教育機能など、さまざまな効果が期待できます。
さらに重要なことは、このような環境保全林ではさまざまな機能が個個に作用するのではなく、すべて同時にまた総合的に働くことです。
簡単な管理で大丈夫
潜在自然植生に基づいて環境保全林を造園しましたので、管理の手間はあまりかかりませんし、樹木の選定についても配慮しました。 しかし、周りに花木も植えましたので簡単な手入れは生徒やPTAにお願いし、病虫害が発生した時にはみどりの課が消毒していきます。
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( 写真説明 ) わらを敷いてきれいにできた環境保全林
( 写真説明 ) 願いを込めた標示板を設置