橘田権治さん
4月も終わりになる頃、桜吹雪が広場や池に舞う。5月、新緑の森をヤマツツジの朱色が彩り、アシタカツツジ、ドウダン、サラサドウダン、フジ、カマツカ、ヤブウツギ、ツリバナ、コバノガマズミ、ウツギズミが次々と咲き出す。雨上がりに見る富士は残雪を谷筋に残すだけとなる。シジュウカラが産卵を始め、クロツグミも黒木の高みに営巣を始める。オオルリ、コルリ、サンコウチョウのさえずりが森の奥から聞こえ、渡りの途中らしいノゴマの姿も見受けられる。イカルは「リベート欲しい」と、どこかの国の政治家みたいに鳴き、センダイムシクイは「焼酎一杯グイ」と鳴く。カッコウ、ホトトギスもさえずり始める。
下旬になると水辺の木の枝にモリアオガエルがクリ−ム色の丸い卵塊を幾つもぶら下げる。シジュウカラの巣をのぞくと、10羽ばかりのひなが一斉に黄色いクチバシを上に向けピイピイとエサをねだる。
森はまた深い霧に包まれ、アカハラのドラミングやキジバトの声が淋しげに聞こえて来る。
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( 写真説明 ) シジュウカラのひな