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【広報ふじ昭和60年】ふるさとの昔話

善光島のきつね

 善光島(今の荒田島2丁目付近)のお宮さんは、昔、狐がでたという言い伝えがありました。
 人と動物の交わりはいろいろなエピソードを生み出します。動物とのほのぼのとした結びつきは、ほほ笑ましいものです。今回は、善光島の狐というお話しです。

高井さん
- 写真あり -

お礼にちょうちんをかざす

 昔の津田村は、家は飛び飛びで、道は狭く、それに木が生い茂っていました。吉原1丁目を寺町といったころ、津田村の百姓がお祭りですしをつくったので、重箱に入れて、寺町の親戚へ持っていこうとしました。
 そして、善光島のお宮さんのところへくると、重箱が重くなったり、軽くなったりしました。
 善光島のお宮さんは、木が生い茂った森で、昔から狐がでるといううわさでした。「はてな?狐のしわざかな。」と思いましたが、きみが悪いので急いで寺町の家にいきました。
 寺町の家について重箱をあけると油揚げのおすしが一つもありません。
 狐にとられてしまったのでした。
 夜になってお宮さんの前を通るとごちそうになったお礼のつもりか、狐たちがちょうちんに火をつけて、お宮さんのまわりを昼間のように明るくしていたそうです。


寂しい場所だったね

 荒田島町に住む高井進さん(73歳)は、「だれだかが、化かされて田んぼの中を歩かされたという話を聞いたことがあるね。とにかく寂しい所で夜なんか1人で歩けなかったね。」と語ってくれました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 善光島のお宮さん
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