森ではシラキ、ケヤキがまず色づき、やがてコナラの黄、ドウダンツツジ、イロハモミジの赤が鮮やかになる。森の小径も明るくなり、近づく足音にリスがパッとナラの幹にとびつく。そのまま動かない。リスの木化けである。冬が近づくとリスの耳の毛が、ピンととがった冬毛になる。
この頃、イタチは水辺にうずくまり獲物をねらう。水泳の得意な彼はときに、自分の身体より大きな鯉を岸にはね上げ、血だけを吸う。残がいは、カラスやカケスのごちそうとなる。富士の根雪も白くさえ、雪煙を上げる頃、シジュウカラ、エナガ、コガラ、ヤマガラ、ヒガラが群をなして森を移動する。この頃、遠くシベリア、中国東北部から渡って来たカシラダカの群が、日だまりに集まり草の実をついばむ。そんな日だまりに、昼寝をしていたノウサギが近づく足音に、一目散に黒木の森に逃げ込む。中旬には猟期に入り、森のまわりでは、ときおり銃声がこだまする。
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( 写真説明 ) イタチ