私たちの生活の中で、毎日欠かすことなく使われている水…。
このきれいな水も、いったん台所や風呂など家庭で使われたあとは汚水となり、環境を汚すもとになってしまいます。
汚れた水をきれいにする施設、それが公共下水道です。
市の公共下水道は、4つの処理区から計画されていて、このうち吉原、富士見台、富士の3処理区が供用開始されています。残りの1処理区が東部処理区で、昭和59年8月30日に東部浄化センターの起工式が行われ、昭和65年度の通水を目標に第1期前期事業をすすめます。
●東部処理区の概要
東部処理区は、潤井川、伝法沢川以東の地域で、吉原及び富士見台処理区を除く地域です。
この地域は、市街化区域とそれに隣接する調整区域を含んでいます。
大渕地区についても自然流下で汚水を流せる地域は含まれています。
全体計画の目標年次は、昭和75年度ですが、公共下水道事業は膨大な事業費を要しますので、全体を3期(第1期は前期と後期に分割)に分け段階的に建設する計画です。
将来的には、吉原及び富士見台処理区もこの東部処理区に統合していきます。
東部処理区の第1期前期事業が完成すると、昭和58年度末の整備済面積866ヘクタール、処理人口5万8,600人、普及率約27パーセントが、50パーセントを超えて都市としての環境整備がまた一歩前進します。
●第1期前期事業の処理区は
第1期前期事業に含まれる処理区域は、須津、吉永、原田地区の一部と元吉原地区の一部及び伝法、吉原地区の一部地域です。
この前期事業として、東部浄化センターは、昭和65年度を完成目標に事業をすすめ、下水道管渠は昭和67年度までに整備していきます。
計画処理面積は、659ヘクタール、計画人口3万2,200人、計画汚水量1日1万8,300立方メートルの処理をします。
●近代的設備の浄化センター
東部浄化センターの全体施設計画は、1日の汚水処理量10万9,800立方メートル、12万3,100人が使用できる施設となります。
今回の第1期前期分は、昭和65年度の完成を目指して、全体施設の6分の1系列(1日に1万8,300立方メートル)の水処理施設と沈砂池、ポンプ、管理棟本管及び汚泥処理施設等を事業費90億円をかけて建設します。
水処理施設が完成する昭和64年には一部供用を開始する予定です。
東部浄化センターの特徴は、浄化センター建設地が軟弱地盤ということから、今回建設する沈砂池、管理棟は基礎杭工に、太さ1.6メートルから2メートル、長さ41メートルのコンクリート杭を67本打ちます。
また、振動、騒音対策として消音装置を設置します。
公共下水道処理場として一番大切な臭気対策としては、土壌脱臭装置を導入します。
この装置は、いままでの処理場にはない、新しい装置で効果が期待されます。
●土壌脱臭装置とは
いままでの脱臭装置は、集めた臭気をカ性ソーダと硫酸の中を通して、なお、活性炭で臭いを取り除き、大気に放出する方法をとっています。
この方法は、臭気は取れますが、薬品代、電気代等の維持管理費がかかりすぎるきらいがありました。
一方、土壌脱臭装置は、集めた臭気を、石、砂利、土を組んだ層の中を強制的に通しながら臭いを取り除き、それを自然に蒸発させるかたちで大気へ放出する装置です。
脱臭効果は十分あり、薬品代や電力使用料が削減できる一石二鳥の装置で、富士市が3年間富士見台処理場で研究してきた成果が建設省にも認められて実現しました。