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【広報ふじ昭和59年】ふるさとの昔話

浮島沼の沼のばんばあ

 浮島沼が広々とした大沼だったころ、夕方から夜にかけて低く太い、うめき声が沼のどこからともなくきこえました。これを沼の周辺の人たちは、「沼のばんばあ」と呼んでおそれていました。


大雨で家が流される

 昔々、浮島村にかわいい子ども連れのおばあさんがやってきました。
 おばあさんは、村人から物をもらいながら、暮らしを立てていました。
 村人は、かわいい子どもに同情して物を与えていましたが、たび重(かさ)なるにつれてけぎらいするようになりました。そこで、おばあさんは、人里(ひとざと)はなれた沼のほとりに住むことにしました。そして、長雨(ながあめ)の続いたある年の6月、特にひどくふった雨のため、おばあさんの家は、一晩のうちに流されてしまいました。
 流れはどんどん早くなり、子どもの姿も見えなくなりました。
 おばあさんは、流されながらも子どもの安否を気づかい「ボー、ボー」と子どもを呼びつづけました。でも返事はありません。そして、大きなうねりにのまれ、子どもも、おばあさんも、とうとう死んでしまいました。それからというものは、夜になるとおばあさんが子どもを呼んだ、「ボー、ボー」という声が沼から聞こえるので、村人たちは、「沼のばんばあ」と呼び、おそれていました。
 西船津に住む後藤信夫さん(86歳)は、この話は、ずいぶん古い話で子どもが泣きやまない時など、「沼のばんばあが来るぞ」とおどし文句(もんく)として使ってたね。だけど、もう知っている人は、ほとんどいないじゃないのかね…。わしゃあ、あのきみ悪い声の正体は、食用ガエルの鳴声じゃないかと思うがね…。と語ってくれました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 後藤信夫さん
添付ファイル
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