【広報ふじ昭和59年】21世紀を意識したまちづくりに 679億円
渡辺市長は、3月定例市議会で、昭和59年度に向けての施政方針演説を行いました。
この中で、21世紀を展望する自治のあり方を意識しながら、新しい行政課題に先見的、先導的な取り組みをし、人づくり、地域づくり、お年寄りが生き生きと暮らせる社会を目標に「活力ある文化と福祉と産業のまちづくりに努めていきたい」と強調しました。
以下は施政方針演説の概要と内示された昭和59年度予算額です。
昭和59年度当初予算額
一般会計 418億円
特別会計 140億8,520万円
公営企業会計 120億4,354万8,000円
(中央病院・上水道事業会計)
総計 679億2,874万8,000円
人づくり、地域づくり、社会づくりをしよう
今日、私たち都市経営の衝(しょう)に当たる者は、世界不況と財政危機という内外の経済環境が一段と厳しさを加えるなかで、国家財政と同様、地方自治体の財政構造も極めて悪化しつつある現実を十分踏まえ、また国の行財政改革が地方に及ぼす影響を見極めつつ、自らも抑制と節度ある行政運営に徹し、変化に対応する行財政体質の改善強化に努めます。
現在のように極めて選択の余地の少ない制度から地方の自主性、自律性を尊重するための抜本的改革を求め、自治本来の原型ともいうべき自前の仕事が可能となるような自治権、財政権の確立が急務といえます。
私は、こうした21世紀を展望する自治のあり方を意識しつつ、新しい時代が求める行政課題に先見的、先導的な取り組みを心していきたいと考えています。そのために、今後すべての施策の中に生かす理念として
第1に、人と人とのふれあいのなかから、うるおいと豊かさをもたらすような人づくりを、
第2に、市民の自立と連帯意識による個性的な地域づくりを、
第3に、きたるべき高齢化社会に向けて、老人が生き生きと暮らせる社会を目標として、活力ある文化と福祉と産業のまちを創造していきたいと考えています。
市政運営の課題
■市民参加による“ふじ21世紀プラン”の策定
第1は、「市民参加による“ふじ21世紀プラン”の策定」です。
市は、昭和54年現総合計画を策定し、当面する社会経済情勢に対応しつつ、「生産と生活が調和する産業文化都市」づくりを目標に市政を運営してきました。
しかしながら、今後急速にすすむことが予想される人口の高齢化、石油を中心とする資源エネルギーの制約、市民生活の質的変化とこれに伴う文化的欲求の高まりなど、市民意識や価値感の多様化による行政需要の変質と情報化社会の到来など、新たに地方自治の対応が迫られているいくつかの今日的及び将来的な都市の課題があります。
従ってこれらの時代的要請に対応するため、第2次計画が終る昭和61年から来たるべき21世紀を展望して、第3次総合計画「ふじ21世紀プラン」づくりのため、現在庁内プロジェクトにより原案の作成に取り組んでいます。このたび策定する総合計画は、より市民に身近なものとして受け入れられるよう、町内会連合会を単位とした地区別計画を新しく導入し、あらかじめ定められた地区ごとにまちづくり会議を開いて、自分たちのこれからのまちづくりを真剣に話し合っていただきたいと思います。
このようなプロセスを踏みながら、新総合計画が市民の合意、目標の正しさ、実現の可能性が十分担保されるよう留意しつつ策定作業をすすめていく考えです。
■市民のエネルギーを結集して新幹線富士駅を
第2は、「市民のエネルギーを結集して新幹線富士駅の実現をはかる」ことです。
本市の歴史を左右することとなるこの新駅誘致のための市民運動は、現在富士地区広域市町村圏をはじめ3市20町4村、圏域住民72万人で構成する東海道新幹線富士駅設置促進期成同盟会を結成し、これが中心となり、新駅実現のために活発な運動を展開しています。
国鉄は、去る昭和57年6月技術的に新駅をつくることは可能であると発表いたしました。以来、市もこれに対応すべく、まず駅設置に伴う利用客需要見込み推計や、都市交通アクセスによる駅位置の問題等、ソフト面の基礎調査を行うとともに、駅設置にかかわるハードな施設面の技術的可能性を中心とした基本構想計画調査も行いました。
この結果、概算事業費について、駅前広場関係経費を除き、2面4線で178億、2面6線で217億円という事業費が算定されました。
この事業は概ね200億円という巨額な投資であり、その財政負祖は誠に容易ではありません。場合によっては他の事業に対しかなりの影響を及ぼすと考えられます。従って、これらは今後の長期的財政計画策定の中で、大変な課題となってきますが、このことを十分市民の皆様にもご理解をいただきたいと思います。
また、財政負担と同様に重要な課題は、駅設置に必要な用地確保です。駅位置については諸般の状況から公表してありませんが、用地取得にあたり、さらに技術的な検討と具体的な調査をすすめるため、新駅の概略計画設計をコンサルタントに調査依頼中です。この調査資料を基に新年度は用地確保にむけて、駅舎周辺の土地画整理事業調査を行い検討をすすすめていきます。
■行財政刷新の具体的な推進
第3は「行財政刷新合理化の具体的な推進」です。
市は、2か年に亘る行財政刷新合理化推進運動の取り組みにより、従来の慣行や既得権などにとらわれることなく、事務事業の見直しと刷新合理化のため具体的な対応策を考えその狙いの一つである公の施設等における業務の委託化を実施するものとし、県下で初めて複数の施設管理による「財団法人富士市施設利用振興公社」が誕生することになります。
つきましては、新年度から市民会館、文化センターと公園の一部を新しく加え、すでに委託をしている駐車場と体育施設を併せ、この振興公社に管理委託をしていきます。
公社による運営は、民間的な発想のもとに機敏で弾力的な経営が期待され、人件費の軽減による経済性とあわせて、公益性を高めるため自主的事業の取り組みによって施設の活性化を図ることが可能であり、これらの利点を生かしたいと考えています。また昨年に引き続き、行政組織の簡素化を図るため、部設置条例の一部改正条例も同時提案しました。これにより1部2課6係の縮少を行い、新組織体制により新年度に臨むことにしました。
重点事業費
◇いのちと健康を守るための計画 81億3,447万8,000円
(1)保健、医療 62億1,705万3,000円
富士市立中央病院建設、医療機器整備事業、胃部検診車購入、各種予防接種、検診事業など
(2)救急 1億650万5,000円
救急医療対策、救急車整備事業など
(3)公害防止 3,263万4,000円
分析センター整備事業など
(4)交通事故防止 1億9,553万円
歩道設置、通路照明灯設置など
(5)火災防止 2億8,004万1,000円
消防分署整備事業、消防水利整備事業、分団詰所整備事業など
(6)災害防止 12億7,888万5,000円
地震対策事業(吉原、鷹岡中区、岩松の上水道水源地に自家発電機を設置など)、広報無線整備事業、河川整備事業など
(7)災害復旧 2,383万円
農林水産、土木施設などの災害復旧
◇快適で住みよい豊かなまちをつくるための計画 119億3,819万4,000円
(1)住宅 4億1,236万5,000円
公営住宅建設事業、勤労者住宅建設資金融資事業など
(2)一般市道 15億9,857万5,000円
市道整備事業など
(3)都市計画 9億3,872万1,000円
都市計画街路整備事業、自転車駐車場新設事業など
(4)土地区画整理事業 14億1,448万6,000円
富士駅周辺、依田原新田、富士中部土地区画整理事業など
(5)上水道 5億777万2,000円
第5次拡張事業など
(6)下水道 26億1,800万円
都市下水路整備事業、公共下水道整備事業など
(7)清掃 33億8,733万円
ごみ処理施設建設事業など
(8)火葬場 1億6,000万円
(9)公園緑地 8億2,055万円
公園整備事業など
(10)みどりと自然 7,894万5,000円
街路樹植栽事業、緑化推進事業、潜在植生調査など
(11)地下水の保全 45万円
地下水協議会補助
◇こどもや老人等の生活を守るための計画 68億6,442万6,000円
(1)こどもと母親 11億3,314万3,000円
保育所整備事業、児童手当支給事業、乳児医療費助成事業など
(2)老人 41億5,739万1,000円
福祉センター運営事業、老人保険医療事業、敬老会事業、老人ホーム保護措置費事業など
(3)心身障害者 5億3,459万7,000円
身体障害者措置費、重度障害者福祉手当、精神薄弱者措置費など。
(4)低所得者 6億5,799万5,000円
生活保護各種扶助、社会福祉協議会事業援助など。
(5)勤労者 1億2,030万円
勤労者進学資金融資、くらしの資金貸付融資など。
(6)消費者 2億6,100万円
公設地方卸売市場整備事業など。
◇教育や文化の水準を高めるための計画 45億1,303万8,000円
(1)幼児教育 3億1,284万5,000円
元吉原幼稚園改築事業、幼稚園就園奨励費補助など
(2)義務教育 36億3,390万円
神戸小校舎改築事業、田子浦小、岩松小、富士中校舎耐震補強事業、学校用地取得造成事業、学校施設維持補修など
(3)特殊教育 166万1,000円
特殊教育教材器材整備
(4)高次教育 4,388万円
吉原商業高校維持補修、高次教育教材器材整備など
(5)社会教育 2億8,734万7,000円
原田、田子浦公民館増改築事業、社会教育学級の開設、青少年の船事業など。
(6)社会体育 2,513万円
社会体育施設維持補修、社会体育振興助成など。
(7)芸術文化 1億7,527万3,000円
東平遺跡住居址復元事業、総合社会文化会館建設基金積立、市民会館整備事業など。
◇豊かな市民の生活を支える産業経済の振興をはかるための計画 29億5,058万5,000円
(1)商業 5億100万円
商業金融対策
(2)工業 13億4,183万9,000円
制度資金融資事業、小規模事業所、集団化事業など。
(3)農業 8億9,656万7,000円
土地改良事業、水田利用再編対策事業補助
(4)林業 2億218万3,000円
林業地域総合整備事業、林道整備事業など。
(5)漁業 899万円
漁業用施設整備事業など。
新幹線富士駅の実現に期待
小笠原 厚さん 36歳 広見本町
- 写真あり -
新幹線富士駅の実現は、市の発展のためにすばらしいことですね。
産業と文化に関してはプラス面が強くでてくると思います。商店街についても、富士・吉原・鷹岡をどうつなげていくのかを関係者の人たちとよく話し合ってすばらしい街にしてほしいですね。昭和59年度の施政方針の中にも重要課題として新幹線のことが入っているし、いままでの運動から用地確保という具体的な事業が示されたので期待しています。
ファミリーサービスに行政のバックアップを
金刺美津子さん 40歳 松本
- 写真あり -
勤めをしていた時、自分の生きがいを求めて勉強したり、地域活動に参加しようと思ってもできなかった。勤めをやめたことと、暮らしの中でお互いに助けあえたらと思い、ファミリーサービス(有償ボランティア)を勉強し、昨年1年間行政にも働きかけてきました。
その結果ようやく行政側からも有償ボランティアという言葉がでるようになりました。
これからの社会は女性同志が助け合うことが必要だと感じますのでファミリ−サービスについて、行政のバックアップを期待します。
添付ファイル
※PDFを初めてご覧になる方は、ソフト(Adobe Reader)のダウンロードが必要です。
「Get Adobe Reader」のボタンをクリックし、説明に従いAdobe Readerをダウンロードして下さい。
広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp