県道勢子辻吉原線添い富士東高校の南側に小高い森が見えます。これが木の宮神社で厄難(やくなん)除けの神として知られ又、禁酒の神でもあります。
毎月旧の15日に例祭、元日に歳旦(さいたん)祭、旧の3月15日に大祭が行われます。
小鳥が救った木の宮さん
木の宮さんは、神々の中でも男器量(りょう)にめぐまれ、才気活発であったが大酒飲みで暴れん坊でした。
ある日のこと、木の宮さんは悪友を誘い晩秋の空にくっきり浮かぶ新雪の富士を仰ぎ狩りに出ました。狩りの結果は上々で、その夜の酒宴はいつになく盛んでした。
どれほど経ったろうか、酔いつぶれた木の宮さんの目もとをくすぐる者がいる。うるさいので払いのけると又耳をつっつく者がいました。
木の宮さんは怒ってはね起きるとそこにはだれもいない。ただ一羽のほお白が足もとをつっついている。
さらによく見るとまわりは火の海でした。木の宮さん達の不注意の残火で猛火は草原をなめつくそうとしていました。命からがら逃れた木の宮さんはこの危機を救ってくれたあの小鳥を思い出し涙を流しました。
それ以来、木の宮さんは酒を絶ち、好きな小鳥を食するのをやめ別人のようになり多くの者に慕われる神になりました。
このような言い伝えのある木の宮さんは、今は春には桜、秋にはもみじ等に囲まれ行楽客で賑わいます。
すぐ近くに住む中村さんは、昔とくらべて祭りがすたれていくのがさびしいと語ってくれました。
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( 写真説明 ) 「したきりすずめの神さんだよ」と中村さん