富士市面積の約半分をしめる山林は、明治時代、金原明善翁の指導のもと、先人たちが多額の投資をして育ててきたものです。
富士市の林業も富士桧の生産団地を目指して着実に歩み始め、8月13日には県東部地区林葉の拠点、富士木材センター管理棟の落成式も行われました。
このかけがえのない財産を私たちは、治山治水の面からも日本−の富士山にふさわしい森林に守り育てていかなければなりません。
■林業の概要
市内の森林面積は、1万664ヘクタールあり、そのうち国有林が2,081ヘクタール、民有林(市有林含む)が8,583ヘクタールあります。
民有林のうち人工林は、83パーセントと高く、植林樹種は桧88パーセント、杉10パーセント、その他2パーセントとなっています。
桧は、一般的に柱として使われるまでに生息するには45年ぐらいかかるといわれています。
富士山麓の桧は、人間に例えれば高校生から成人式を迎えようとしている段階の、植林後16年から30年たったものが全体の約55パーセントをしめ、あと15年ぐらいで立派な成木になります。
最近の出荷量は、年間5,000立方メートルぐらいですが、幼齢林が大部分を占めていることから将来は飛躍的な増加が見込まれています。
■恵まれた気候風土
森林を育て、一大産地を目指すには気候・風土も重要な要素になります。
富士山麓は、地形的には火山活動によって形づくられたものが多く、林業対象地に適している傾斜度30度以下の面積が、95パーセントもあります。
雨量は、多い所で年間3,000ミリ、少ない所で1,800ミリ、一般的に2,000ミリ前後で日本でも雨の多い地域に入っています。
気候は比較的温暖で海洋性のため森林育成のための自然条件に恵まれているといえます。
■森林育成に指導を
富士市林業の特色は、人工林7,056ヘクタールの88パーセントを占める森林が桧林であることです。
現在はまだ幼齢林が多く、主伐期を迎えた森林はごくわずかですが、将来的には桧材の一大産地に成長する可能性は十分あります。
市は「優良桧柱材」生産を目標に除伐、間伐、枝打ちを適期に行うため、枝打ち登録制度の採用や、補助金の交付等を行い指導しています。
■林道、作業道も整備
優良桧を育てるには、植林してから、除伐、間伐、枝打ちを何回もすることが不可欠です。
そのためには、林道、作業道を早急に整備していかなければなりません。
市内林道の延長は、昭和57年度末で27路線、6万3,954メートルで林道密度は1ヘクタール当たり、7.5メートルになっています。
昭和59年度からは、林業地域総合整備事業で、林道は2万3,700メートルの開設、改良を予定しています。
作業道は、間伐の推進と間伐木などの搬出のため11路線、9,020メートルを計画しています。
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( 写真説明 ) 最良桧を育てるには大切な枝打ち