山中共古が、その見聞緑「吉居雑話」に、明治末年の吉原とその周辺の民俗の様々な姿を記録したことは、7月5日発行の広報ふじで紹介しましたが、今回は、当時の年中行事、特に、お盆にまつわる行事を今泉に住む鈴木さんの話をまじえて紹介します。
お盆の行事あれこれ
吉原では、旧暦の7月1日から31日夜まで家々の戸口で、火を焚き(杉を細く割り小さく束ねたもの)先祖を祭りました。
八朔(はっさく)(旧暦の8月1日)の朝も火を焚きますが、この日は子ども達が大勢で各戸へ盆燈ろうの紙房をもらいにいき、次から次へ「燈ろうの房おくれ、おくれ」ともらい歩きます。
盆提灯(ちょうちん)を燈(とも)す家でも、提灯へ横木を渡し紙房をつけ、7月中は飾りにし、八朔には多数の子どもに与えるようにしました。(吉居雑話より)
キュウリの馬よりジェット機?
鈴木孝一郎さん(84歳) 今泉7丁目
- 写真あり -
今泉では、盆釜といって、盆の15日の朝、近所の小学生4〜5年の女の子達があつまり、各戸から米一合ほどをもらい、小豆や野菜を入れた「小豆飯(あずきめし)」を炊き、みんなで会食をしてたね。
また、精霊(しょうりょう)棚は、真菰(まこも)のござをひいて、その上にナスの牛、キュウリの馬をつくって先祖の霊を迎い入れたけど最近、こんなかざりも少なくなったようだね。
お盆の行事も昔ながらのやり方がだんだん減ってきたね。キュウリの馬をみて子ども達はジェット機の方が早いのにといったりして……。