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【広報ふじ昭和58年】老後を支える国民年金というけれど!! 大丈夫かしら?老後は

“保険料が高くなったのでやめたい”“将来もらえるかどうか不安”…。国民年金に対する、このような相談が増えています。高齢化社会を迎えつつある現在、私たちにとって老後の生活は大きな課題です。そこで、保険年金課の加藤勝治課長を訪ね、国民年金について東滝川の主婦 長島澄子さんにレポートしていただきました。

- 図表あり -
( 図表説明 ) 国民年金の種類



国民年金に思う

横山玉子さん(31歳) 主婦 今泉6丁目
- 写真あり -

 年金をもらうまでには、だいぶ期間があるのでピンときませんが、老後のためかなと思って加入してます。



依田あさ美さん(49歳) 自営業 富士町
- 写真あり -

 年金をもらう人はいいけれど、若い人はこれから掛けていかなければならず、大変ですね。



長田祥吉さん(65歳) 自営業 広見本町
- 写真あり -

 老後を年金だけに頼るのはよくないと思う。年をとっても健康であれば、仕事をつづけたいね。



渡辺正雄さん(71歳) 無職 船津
- 写真あり -

 63歳からもらい始めた年金は、自分の趣味を生かすために使っているよ。健康で長生きしなけりゃ損だね。

国民年金について、東滝川の長島さんがレポート

レポーター 
長島澄子さん(51歳) 主婦 東滝川町
- 写真あり -



●保険料、年々上がってますネ●

 長島さんの場合は、ご主人が高校教諭でサラリーマンのため、昭和48年に国民年金に任意加入しました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 老後は誰にでも……と加藤課長
( 写真説明 ) 加藤保険年金課長は、老後の健康や年金問題についても各地で講演。好評を得ています。

長島
 まず始めに、年金制度にはどのようなものがありますか。

加藤
 我が国の年金制度は、国民年金、厚生年金をはじめとする8つの制度に分かれ、誰でもがいずれかの制度に加入する国民皆年金のしくみになっています。
 これらの制度は、内容に差はありますが、どの制度も老後の生活保障を大きなねらいとしています。

長島
 そうですか。
 一般に国民年金といえば、25年納めた人がもらう老齢年金を思い浮かべますが、他にはどのような種類がありますか。

加藤
 そうですね−。老齢年金の他に通算老齢年金、障害年金、母子年金、準母子年金などがあります。
(*上表参照)

長島
 国民年金に加入する人は一。

加藤
 商業・農業などの自営業を営む20歳から59歳までの人と、他の公的年金に加入していない人は、必ず入らなければなりません。


○強制と任意加入が

長島
 国民年金には強制加入と任意加入がありますね。

加藤
 そうです。先に述べた人たちは強制加入で、長島さんのようにサラリーマンの奥さんや昼間部の学生などは、任意加入となります。

長島 
 年金制度はいつからできたのですか。

加藤
 昭和36年からです。

長島
 私が加入したのは昭和48年です。最初は何となく保険料を納めていましたが、最近では保険料が高くなったために負担となり、やめてしまおうかと迷う時もあります。

加藤
 任意の場合は途中でやめることもできます。
 しかし、高いからといって途中でやめてしまうのはどうかと思いますね。



●やめようかナ...とも思うんです●

加藤
 たしかに保険料は毎年上がっています。しかし、これは物価等の値上がりも含まれていると考えていただきたいのです。
 たとえば、昭和56年度をみていただくと、支給されている年金額に見合う保険料は8,750円なんです。
 ところが実際に被保険者のみなさんからいただいた保険料は4,750円です。この不足分は国が負担しています。

長島
 約半分近くになりますね。

加藤
 そうなんです。実質的には決して高くないと思います。
 これからは、さらに高齢化社会を迎えます。このような時に、お年寄が自分1人だけの力で生活していくことは、大変むずかしい時代になります。そこで、自分が若いうちにこの公的年金制度を利用し、老後に備えていただきたいと思うのです。
 老後というのは、誰にでも必ずやってくるものですから……。

長島
 ええ、で、また思い直して掛けてはいるのですが……。
 私の場合は遅く加入したので、60歳まで20年位しか掛ける年数がないのですが、不足分の5年はどうなるのでしょうか。

加藤
 任意の場合は、結婚年数も通算されますので資格はとれますね。
 ただ、いただく年金は掛けた金額だけです。



●高齢化社会を迎え破産するのでは?●

長島
 もし、私が年金をいただく寸前に死亡した場合、掛金はどうなるのでしょうか。
 例えば家族に少しもらえるとか。

加藤
 生命保険じゃありませんからね。老後の生きるための生活保障の年金ですし、亡くなった方に老後はありませんので……。

長島
 ごもっともです。

加藤
 ただし、死亡一時金はもらえます。3年以上掛け金を納めた人が年金を受けずに死亡した時、その遺族に支給されますし、夫を亡くし18歳未満の子と生活している場合、母子年金ももらえる仕組みになっています。

長島
 それらの年金をもらう時はどうすればいいのですか

加藤
 年金を受けるには、すべて本人からの申し出によります。

長島
 先日私、11枚の領収書を比べてみたのですが、10年間に10倍以上も保険料が値上がりしているんですね。その上げ幅も変則的です。
 保険料はどのようにして決めるのですか。

加藤
 5年ごとに保険料の再計算をして調整しています。年金の給付額や収入及び国庫負担の額、それに物価の上昇などをみてですね。


○保険料が納められないときは

長島
 保険料が納められない場合は、どのようにしたらよいのですか。

加藤
 強制加入の場合は、免除の申請をすることができます。免除になりますと、免除された期間も年金を受ける25年以上の資格期間に算入されます。
 長島さんのようなサラリーマンの奥さんなどの任意加入の場合は、やめる手続きをしてください。納めないでおくと期間不足となることもあります。

長島
 65歳まで生きられる保証は何もないので、60歳でもらいたいとも思うのですが…。

加藤
 本来は65歳からなんです。
 60歳からですと42パーセント支給率が低くなります。それに60歳ではまだまだ働ける歳なんですね。働ける間は働いて、65歳になってから100パーセントいただいた方が得だと思います。(年金のくり上げ減額・くり下げ減額率のグラフをご覧ください)


○年金だけで生活は…

長島
 年金だけで将来生活できるのでしょうか。

加藤
 公的年金だけで、誰しもが老後の生活の全てをまかなうことは困難でしょう。これを埋める手段として企業年金や個人年金の利用も結構だと思います。しかし、個人年金は老後の所得保障としての機能に限界があります。とくに掛金の払込み期間が長くなると年金額が大きく目減りし、老後の所得を補う役割が低下するわけです。

長島
 個人年金には物価スライド制もないんですね。

加藤
 そうです。今後もこれを導入することは不可能と思われますので、個人年金に対して、公的年金と同じような役割を期待することは、本来無理なことでしょう。


○何か有利なことは

長島
 年金を納めていることで何か有利なこと、又は特典はありますか。

加藤
 まず、税金が安くなりますね。それから、全国各地の保養センターを安く利用できます。

長島
 年々、平均寿命が伸びていますが、その反面、日本の人口は出生率が低く、高齢化社会の中で年金を支える若者が少くなってしまうと思います。そういう面からみて、今後、年金制度は破産するのではないかと心配されていますが…。

加藤
 国民との長期契約が年金です。制度の健全な運営のため、各種の改正は予想されますが、それを簡単に破棄する、ということは考えられません。これは、国の威信にもかかわることですから。

長島
 よくわかりました。
 最後に、老後というものは、突然にやってくるものではなく、健康も年齢も自分の問題として心がけておくことが大切なんですね……。

年金を多くもらうには

 年金を少しでも多くもらいたい−これは誰でも思うこと。
 国民年金の老齢年金は、男女ともに65五歳からが原則です。
 しかし、希望すれば60歳から65歳の間の希望するときからもらえます。ただし、65歳からもらうときよりは、減った割合になります。仮に65歳から毎月1万円もらえる年金を、60歳からもらうと5,800円、61歳で6,500円、62歳では7,200円と支給が変わります。
 一方、65歳から701歳までの間の希望する年齢まで、くり下げてもらうこともできます。
 この場合は、もらえる割合が増えます。65五歳でもらえる年金額を百として、各歳のもらえる割合は下のグラフのとおりです。60歳からもらい始めれば、減った金額にせよ長い期間もらえます。70歳からもらい始めれば、増えた金額にせよもらえる期間は短くなります。
 そこで、平均余命だけ生きたと仮定したとき、一生の間にもらえる年金総額を比べてみたのが左下のグラフてす。

- 図表あり -
( 図表説明 ) <国民年金のくり上げ減額・くり下げ増額率>
( 図表説明 ) <平均余命からみた一生の間にもらう年金総額>  (25年間の保険料納付の場合)
- 図表あり -

 上の図は、昭和51年度に10年年金か発生して以来、各年度ごとにその時の最も高い年金額とその時の保険料を月額で比較してみたものです。(最も高い年金額とは、昭和36年4月から引きつづいて保検料を納めてきた人の繰上げをしない65歳支給の年金額です。) 
 この図から、これまで年金額が高くなるにつれて保険料が引き上げられてきたことがわかります。保険料は昭和56年4月から月額4,500円となっていますが、今後も受給者が増え年金額が高くなるにつれて保険料を引き上げていかなければなりません。法律では昭和60年まで保険料がきめられていますが、その後の保険料は次の再計算のときに改めてきめられることになります。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 保険年金課には相談コーナーもあります
添付ファイル
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