工場を拡張したいが、周辺が住宅のためできない。騒音や振動などの苦情が多く出ている。−こんな事業所の悩みを解消し、工業振興をさらに図ろうと、市は小規模事業所集団化事業を進めています。
移転理由は「作業所が狭い」など
この事業は、公害問題などで悩んでいる小規模事業所を1か所に集め団地化することによって、工場の整備と経営の安定化を図ろう−というものです。対象は、概ね従業員20人以下の事業所ですが、それ以外の事業所でも立地状況によっては参加できます。現在、住宅密集地や市街地にある事業所の多くが、振動や騒音などの公害の苦情、あるいは、密集地のため作業所の拡張ができないなどの悩みを抱えています。
市が昨年行ったアンケート調査では、集団化して移転したい事業所が全体の半数以上もあることがわかりました。移転希望の主な理由としては、「作業所が狭い」「用途指定のため増設が不可能」「借地・借家のため」などがあげられていました。
また、市民から苦情を受けたことのある事業所は、全体の約30パーセント。
苦情の最も多いのは「騒音」、次に「振動」「ばい煙」の順でした。
このような悩みを抱えている小規模事業所にとって、1事業所だけでこれらの問題を解決するということは、大変むずかしいことです。
そこで、移転希望のある事業所が集まって協同組合をつくり、集団移転し、住宅地と離れた新しい場所へ工場団地を造ろうというのが、この小規模事業所集団化事業の大きなねらいです。
集団化によって共同事業も
市内には現在、浮島工業団地と五貫島の富士金属団地、駿河金属団地の3つがあります。
団地の特徴は、なんといっても住宅地域から工場が分離されることにあります。それによって、騒音や振動など、周囲に気を使わず仕事ができること。また、工場が集団化することによって、共同化による豊富な品ぞろえができることや共同購入、共同販売の実施が可能になります。
この他に、労働者の労働環境も改善されるため、生産力の向上にも結びつきます。
建設資金については、国の公害防止事業団の融資制度のほか、県の中小企業集団化の高度化資金など、長期で低利な融資が受けられます。
まず組合を設立
この事業を実現させるためには、まず、移転希望事業主によって、協同組合をつくる必要があります。
市は、組合設立のため移転希望事業主40社余の代表で構成した準備委員会を今年の3月に発足させました。現在、準備委員会では、先進工業団地の視察や組合設立のための諸準備をすすめています。
団地の建設は、おおよそ昭和60年度を目標にしています。しかし、この事業を進めていくには、今後、用地選定や組合へ加入するという事業主の意思決定の問題が残されています。これらの問題を解決することが、団地建設実現へ向けて、人きく前進することになります。
この小規模事業所集団化事業に参加を希望する事業主は、商工業課へお申込みください。 内線 405
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( 写真説明 ) 富士金属工業団地