話してくれた人
鈴木房吉(すずきふさきち)さん(74歳)新町
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左にあんだ縄を供えて
あの頃は、そう、わしがまだ子どもの頃のことなんだがな。今のようにテレビもないし、夕食が済んでからの楽しみといえば、いろりのはたでおじいさんの昔話しを聞くことだった。それこそまばたきもせず、息をころして聞き入っていたもんだよ。
松本の観音さんは、33番観音とも言われ、いつの頃からか、失せ物をした時には、自分で縄をなってお供えすれば、失くなった物が出てくるという伝えがあってナ。そうそう、縄をなうには、なぜか逆の左にあんだものでないとだめなんだよ。
そんなわけで観音さんのお堂にはいつも左にあんだ縄が供えられていたもんだ。わしはやったことはないが、何でも人の話しでは、ご利益があるということだ。
村内(むらうち)の農家の人だがな、ある時、牛に引かせるスキが失くなってしまった。どこをさがしてもどうしてもない。そこで観音さんにお願い申したところ、次の朝、農機具置場にちゃーんとあったそうな。
その人は喜んで、観音さんにお礼のお酒を供えたということだ。
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( 写真説明 ) 今は鉄筋のお堂となった松本の観音さん
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