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【広報ふじ昭和57年】ふるさとの昔話

本市場に伝わる 鶴の茶屋(つるのちゃや)

板倉茂三郎さん(76歳)(本市場)
- 写真あり -

 そうさなあ、わしがこの本市場に住んでもう50年になる。それにしてもずい分と変わったもんだ。今は国道を自動車がひっきりなしに走っているが、わしが若い頃は、荷を運ぶのに大八車を引いたもんだ。そうそう、鉄道馬車がここを通っていてな。
 その頃聞いた昔話なんだが…。
 ここ本市場は、東海道五十三次の吉原宿と蒲原宿の合いの宿だった。甘酒やうなぎの蒲焼が名物だったそうで、茶屋は結構繁盛しておったということだ。
 その茶屋に座って富士山の中腹を望むと、林の間に芝生が見えて、夏は青く、冬は白雪に輝き、その形は一つは鶴が舞っているようで、一つは亀が泳ぐように見えたので、鶴芝亀芝といって、旅行く人は非常に珍らしがったということだ。
 そうしたことから、誰いうことなく、この茶屋を「鶴の茶屋」というようになったそうだ。
 ま、今ではそうした話しを知っている人も少なくなってしまったような感じで、どうもめまぐるしい時代になったもんだなあ……。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 鶴の茶屋跡の碑


−語ってくれた人−

 板倉さんは、神社仏閣の建築彫刻師としてこの道60年。今も元気に制作にはげんでいます。号を聖峰といい、市立博物館には役の行者像(えんのぎょうじゃぞう)のすぐれた作品が展示されています。

 この欄で昔話しを語ってくれるお年寄りを探しています。あの人が知っていそうだという情報でも可。連絡先は市役所広報広聴課 電話番号 51-0123(内線528)
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