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【広報ふじ昭和57年】ふるさとの昔話

渡船に仇(あだ)した大蛇

 なにせ音に聞こえた急流です。その昔、富士川を渡ることは誰もがおそろしく命がけでさえありました。
 なぜかといえば、富士川の主に魅入(みい)られたら生けにえにならない限り船はひっくり返されてしまうのです。
 その日、水神の森にある渡船場から姫君の一行が船に乗り込みました。


 あわ立つ水流。川の中ごろで渡し船はピタリと動かなくなってしまいました。船頭の顔色はまっ青です。「皆さん、自分の持物を何か一つ投げ入れて下さい。さあ早く!」
 船中の人々は、懐紙(かいし)や扇子などを川の中に投げ入れました。何と沈んだのは姫の持物ただひとつ。
 姫は徳川家康の娘の一人、三河の国竹谷(たけのや)の城主へ嫁ぐ途中の旅でした。
 このままでは、富士川の主に船をひっくり返されてしまいます。
 身をふるわせる姫とあわてふためく一同を静めて、旗本平松金次郎は「皆の者、姫を無事に頼んだぞ。」と一言、姫が羽織(はお)っていた緋の打掛けを自分がかぶり、大刀を片手に川の中へざんぶと飛び込みました。
 すると不思議、船は動いて、岩渕(いわぶち)の岸へ無事着くことができました。
 やがて川面がまっ赤に染まりました。波しぶきと共に現われたのは、姫の身代りとなった豪勇の士平松金次郎と大蛇の死がいでした。
 今まで渡船に仇してきた富士川の主はこの大蛇だったのです。
 それからというもの、渡船が止まるようなことはありませんでした。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 魚道(ぎょどう)のある最近の富士川
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