【広報ふじ昭和57年】国の重要文化財に
瑞林寺の延命地蔵菩薩座像
市内松岡瑞林寺の延命地蔵菩薩座像が、市指定の有形文化財になってから、わずか1年半の4月5日にこんどは、国の重要文化財に指定答申されました。
この答申によって指定が決まると(本年6月官報告示見込み)、市内では6件目の重要文化財となり、昭和34年以来実に23年ぶりになります。
宗教的格調の高い仏像
延命地蔵菩薩座像は、桧の寄木造り、高さは84センチメートル。
像の内側には、お経の梵文(ぼんもん)ほか、制作時期、作者を示した胎内銘に「治承元年8月……大仏師法橋口慶……」とあり、この□慶は雲慶と読め、雲慶すなわち鎌倉時代の名彫刻師運慶ではないかと推察されます。
作者は運慶と断定できませんが、運慶の代表作である奈良円成寺の大目如来像などと並ぶ宗教的格調の高い慶派の作品です。
特色は、平安時代の仏像が優しい目鼻立ちをしているのに比べ、きりっと引き締まり、衣紋の線も太いなど鎌倉時代の様式をよく表わしています。
重要文化財に指定答申されるまでの経過
◆55年9月
市指定有形文化財となる。
◆55年10月
文化財調査官鷲塚泰光氏外1名による調査が行われる。(瑞林寺)
◆56年1月から2月
市立博物館の展示品として、レプリカ製作のため、京都国立博物館文化財保存修理所へ搬入し、そこで伊東技官の調査により、運慶青年期の作と推定される。
◆56年11月
奈良国立博物館長倉田文作氏と奈良大学教授松島健氏による調査が行われる。(瑞林寺)
◆56年12月
慶応大学教授西川新次氏と東京芸術大学教授らにより調査が行われる。
◆57年2月
文化庁中村康技官による調査が行われる。
◆57年4月
国の文化財保護審議会を通過して文部大臣に重要文化財指定の答申がされる。
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