いつの頃か、平垣(へいがき)の金正寺(きんしょうじ)に飼われていた年とった大きな三毛猫は、近郷の猫をあつめて、夜な夜なダンスパーティーを主催したという話しが伝わっています。
平垣(へいがき)の不二山金正寺(きんしょうじ)という古い寺に、年とった大きな三毛猫(みけねこ)がいました。その三毛がボスになって、毎晩中島村の茅積場(かやつんば)で、あたりの猫をあつめ、ダンスパーティーをひらいているのを、はっきり見たのは、片宿(かたしゅく)のある百姓のおじいさんでした。
ある晩、風呂場の手拭(てぬぐ)いにどろがついており、かける場所も違っていることに気づきました。
おじいさんは寝床へもぐって眠ったふりをしていますと、真夜中になって飼猫のタマが、手拭(てぬぐ)いを口にくわえて出かけるではありませんか。
おじいさんは、不思議に思ってタマのあとをそっとつけてみました。それとも知らない猫は、畑をぬけ、田んぼ道を通って、中島村の茅積場まで来ました。
そこには何十匹という猫が集まって・てんでに手拭をあねさんかぶりにして、後足で立ってゆかいそうにおどっているではありませんか。
そのうち猫たちが一斉におどりをやめて、大きな猫を迎えました。
手拭をイナセにかむって、ゆうゆうとやってきたのは、金正寺の描だったのです。
それからは、夜明けまで猫たちがおどり狂ったということです。
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( 写真説明 ) 金正寺の山門
平垣町 山本孝一(やまもとこういち)さん (75歳)
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昔は、いろんな話しを親から子へ語り聞かせてきたもんだ。この話しもそうした一つとして、代々伝わってきたのサ。
まあ特にいつの頃ということではないが、何とおもしろい話しだねェ。
そういえばこの頃は、親が子供に語り聞かせるということがないようだねェ。味気ないじゃないかね。