●室町時代のラブロマンス
原田妙善寺の西、ヘルスセンター鑑石園の庭の中に今もなお湧き続けている池には、遠く室町(むろまち)時代にまつわるラブロマンスが語り伝えられています…。
常陸(ひたち)国(今の茨木県のあたり)小栗城主判官満重(はんがんみつしげ)は応永30年(1424年)関東管領足利持氏(あしかがもちうじ)の大軍に城を囲まれました。
落城のとき、わずかの家来をつれて城をのがれた満重は途中、相模(さがみ)国(今の駿東郡小山町)の豪族(ごうぞく)横山大膳(たいぜん)のところへ一時身をよせました。
ある晩、大膳の策略によって家来を毒殺され、満重もまた危機を迎えました。しかし、大膳の館にいた照天姫(てるてひめ)に助けられた満重は、名馬鬼鹿毛(おにかげ)に乗って姫と共に逃げたのです。
そのころ、原田の妙善寺に大空禅師という徳の高い僧がいました。
息も絶えだえの満重と姫は禅師の手あつい看護に一命をとりとめることができました。
絶世の美人照天姫は、この妙善寺にかくれている間、清らかな湧き水の中にある石に姿をうつして、身なりをととのえたということです。
以来「かがみ石」といわれるようになったのです。
やがて満重は小栗城を再興し照天姫とむつまじく暮しました。
■湧き水をみながら…
鑑石園 西村よしえさん
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この鑑石園の庭には湧水の池が6つあるけど、かがみ石のある池は昔から干上ったこともなく湧き続けているんだよ。他の中の黒くて丸い石が水鏡になったんだね。
近頃は若い人も来るようになったよ。きれいな湧き水をみながら昔をしのぶのもいいものだと思うよ。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
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