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【広報ふじ昭和56年】ふるさとの昔話

農業への努力

その3 次郎長開墾(かいこん)

 次郎長町は駿河の海を一望に眺める富士山麓の標高350メートルほどの開拓地です。広さは24万平方メートル(約76町歩)。明治7年、清水の次郎長が、江尻の囚(しゅう)人を使って開墾をはじめました。
 実際に現地の指揮をとったのは次郎長の養子となった天田(あまたの)五郎という人でした。しかし、酸度が強くやせた土地のため農作物は出来ず、10年後に中止し、不成功のまま全員で引揚げてしまいました。
 原野に戻ってしまった土地を再び開墾したのは、山梨県や旧安倍郡、御殿場、裾野からの入植者でした。
 木を切り雑草とたたかい、岩石を砕く苦しい労働の連続でした。こうした結晶として現在の集落の基礎ができたのです。
 広々とした畑に囲まれて69世帯、279人が住んでいます。
 部落の中心には白髭(しらひげ)神社が祭られています。

ここまで来るのに苦労したよ
次郎長町 村松常作さん(59歳)
- 写真あり -

 昔は限られた作物しか出来ず、生活も苦しかったヨ。この土地だけでは食えないから男は出稼ぎをした。私の父も伊勢の方まで行ったものだ。
 電灯は昭和のはじめの頃には入ったが、水道は昭和30年代になってかナ。それまでは天水に頼っていたのさ。
 今では便利になったものだ。畑も立派になった。苦労してここまで来た農業をもっと大切にしてほしいね。
- 写真あり -
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