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【広報ふじ昭和56年】水 限りある貴重な資源

毎日の生活と生産活動を支える地下水

 私たちの生活に欠かすことのできない水。
 この水は、すべて地下から汲みあげられています。
 炊事・洗たく・入浴などの生活用水はもちろん、工業用水・農業用水なども…。
 富士山からの豊富な地下水は、私たちのまちを「工業都市」として発展させました。
 このように「地下水」は、私たちの生活から切り離すことはできません。
 8月1日から7日までは「水の週間」です。
 これを機会に「地下水」について考えてみましょう。


■地下水に海水が…
 現在、市内での地下水汲みあげ量は、1日平均で上水道が8万5,600立方メートル、工業用水が104万2,000立方メートルです。
 このうち、上水道については100パーセント、工業用水については70パーセントを地下水に頼っています。
 市内の地下水は、通産省が昭和40年に実施した「地下水利用適正調査」によると、富士山水系(浅層・深層)、愛鷹山水系、富士川水系、潤井川水系の4つに分けられます。
 各水系の地下水量は、右図のとおりです。
 これらの水系による地下水の量は、1日になんと127万5,000立方メートル。
 そして、この位なら汲みあげても安全だろうと思われる「安全揚水量」は、1日80万立方メートルとされています。
 しかし、昭和30年後半からの高度経済成長に伴う工業の発展、都市化の進展は、ますます地下水の汲みあげを増大させました。
 そのため、地下水の水圧が低下し海水が逆流する「地下水障害」が発生しました。
 昭和35年、田子浦港付近に塩水化した井戸が発見され、それ以後、年々拡大し、昭和48年ころには県道・沼津線の北側まで、塩水化の汚染地域が広がっていきました。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 市内の地下水系


■工業用水を水源転換
 こうした、地下水障害防止に対応するため、昭和42年「岳南地域地下水利用対策協議会」が設立され、地下水の自主規制が行われました。
 また、昭和46年には県条例によって、法的な規制も受けるようになりました。
 昭和47年に県が行った立入調査によると、市内の地下水採取量は1日140万立方メートルで、安全揚水量の80万立方メートルを60万立方メートルも上回っていることがわかりました。
 この地下水過剰汲みあげを減らす方法として、日本軽金属富士川発電所の放水を利用した「東駿河湾工業用水道」への水源転換が行われることとなりました。
 第一次転換は、昭和50年2月に57社26万立方メートルが行われました。
 それ以後、現在までに86社31万立方メートルの水源転換が行われ、同量の地下水が削減されました。
 こうした水源の転換計画は、全国でも初めての試みで、実績は高く評価されています。
 水源転換計画により約31万立方メートルの地下水が削減された結果、地下水位は除々に上昇しはじめ、また塩水化も一応縮少の傾向をみせはじめました。
 しかし、依然として1日約100万立方メートルの地下水が汲みあげられているため、今後さらに地下水の削減が検討されていきます。
 また、現在設置されている59か所の塩水化観測井戸と4か所の地下水位観測井戸によって監視を続け、さらに監視体制を強化していきます。
 今後、各井戸に「水量測定器」を設置し、地下水の汲みあげ量を正確に把握していきます。


■合理的な利用を
 生活水準の向上や産業経済の進展は、水需要をますます増大させます。
 富士市では、「水資源」の大部分を地下水に頼っていますが、地下水は決して無尽蔵にあるものではありません。無計画に利用すれば、再び先のような「地下水障害」が引き起こされます。
 私たちが使っている上水道、すなわち「生活用水」は、100パーセント地下水を利用しているのが現伏です。
 しかも、「地下水源」に代わるダム等の建設は、建設適地、工事費等の関係で困難な状況にあります。
 そこで、私たち一人ひとりが節水をはじめ、合理的な水の利用に務めなければなりません。水は、「有限で貴重な資源」です。


■豊富な湧水が
 田宿川は、最近、湧水が増えてきたね。一時期は水が減って干上がった状態だった。
 昔、ここはきれいな水がたくさん流れていて、田へ水を引いたり、生活用水としていたんだよ。多分、湧水が豊富なため、土手をつくり、川として、生活するために使ったのでは…。
 子どものころは、よくここで泳いだり、魚をとったりしたもんだ。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 工業用水管橋
( 写真説明 ) 江戸時代末期のころの地図を見ながら、当時の村の状況や川の様子を説明する井出源一郎さん(81歳)(今泉水の上町)
( 写真説明 ) 中央図書館の下 田宿川
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