【広報ふじ昭和56年】遊び型非行の増加
親の「そのくらいは…」が子をダメにする
青少年の非行がますます増え、低年齢化しています。これは、全国的な傾向ともいわれています。青少年を取り巻く社会環境、家庭における教育機能の低下、受験競争からの落ちこぼれ…。原因はさまざま。
「非行」は、たんに青少年だけの問題ではなく、私たち大人の問題として取り組み、考えていかなければ防ぐことはできません。
7月は、「青少年を非行から守る全国強調月間」です。市は、この期間内の7月11日から18日までを「青少年健全育成強調週間」とし、愛の呼びかけ運動や非行の防止、環境の浄化などを呼びかけていきます。
■一昨年の53%も増える
「最近の少年非行は、お金や品物を欲しいという欲求解消型ではなく、スリルを楽しむための、いわゆる遊び型非行が多くなっている。」
さらに、「悪いことをしてしまったという、罪の意識は、ほとんど持っていない…」と富士警察署では話しています。
このような傾向は、子どもたちだけでなく親にもあり「そのくらいの事は」という考えが、子どもにも影響している−ともいっています。
昭和55年度中に、富士警察署管内で検挙補導された少年は486人。
前年の317人に比べ、169人(53%)も増加しています。
非行の内訳は、「窃盗犯」が最も多く455人で、全体の94%を占め、つぎに「知能犯」「粗暴犯」の順となっています。
■早いうちにつみ取れ
これを年齢別にみると、14歳から15歳までが最も多く174人で36%、次に14歳未満が154人で32%になっています。
「窃盗犯」の中では、「万引き」が一番多く281人で62%、つぎに「オートバイ盗」が62人で14%を占めています。
このほか、不良行為として補導された少年は、1,771人もいました。
そのうちで一番多いのが「喫煙」の695人。つぎに「深夜はいかい」の434人、「暴走行為」、「不健全娯楽」の順です。
これらは、あくまでも補導された数字で、実際にはこの10倍とも30倍ともいわれています。
補導された多くの少年たちは、初めて補導されたというケースがほとんどで、2度・3度というのはあまり見られないそうです。
このようなことから、非行は早いうちに見つけ、注意を与えれば防げる−といえます。
富士警察署防犯少年課の佐野係長は、「日ごろから、親が子どもに目を配り、買い与えていないものを持っている場合は、詳しく聞いてみる…などの心掛が必要です」と話しています。
いずれにしても子どもは、親の行動をよく見ています。大人が正しい行動をしていなければ、子どもに注意をすることもできません…。
社会環境の改善を…
■市補導センター 図書自販機の監視員を置く
青少年の非行の原因として、家庭内での対話不足・社会環境の悪化・学校での授業についていけない落ちこぼれなどがあげられています。
非行は、ある日突然に起こるものではありません。
少しずつ、非行の道へ入りこんで行き、やがてそれがエスカレートする形になります。
市青少年補導センターは、青少年に対する社会環境をよくするために、有害雑誌や俗悪ポスターの追放運動、青少年を守る環境浄化推進地区の指定などを行っています。
有害図書が販売されることを防止するため、図書児童販売機の収納状況を監視する「監視協力員」を置き有害図書に関する監視を強めていきます。
青少年の非行防止は、関係者だけでなく、市民1人1人が感心を持ちお互に声をかけあうなどの心のつながりが大切です。
家庭は、子どもの人格をつくる上で、最も大切な場であるといわれているように、親と子がなんでも話し合える明るい家庭からは、非行の芽は出ません。
放任家庭は、非行の原因ともいわれています…。
非行防止に「愛の呼びかけ運動」
■青少年健全育成強調週間 7月11日〜18日
「青少年の健全育成強調週間」に市及び警察署などは、愛の呼びかけ運動や非行の防止、環境浄化などの啓蒙活動を行います。
青少年の健全育成のために、身の回りの環境や日ごろの生活について、見つめ直してみましょう。
強調週間の事業内容としては、7月11日が、吉原一中を中心に市内パレードと広報活動
12日から14日までが、広報車による呼びかけ運動。
16日が、「市民教養講座」教育を考えるをテーマに、富士文化センターで夜7時から講演会を行います。
- 図表あり -
非行問題 ぼくらの声
●親は子を半分信じろ!
非行とは、そもそも一般常識はイチオウ頭の中には入っているものの、少し「メダチタイという好奇心が自分を甘やかして、欲求を満たすということだと思う。自分をコントロールすることができれば、少しはピントがずれても心配はないと思う。親は子を半分は信じてもよいと思うが、後の半分は大人になるまでの段階をふませるべきだ!(高校3年生男子)
●根っから悪人はいないはず
今の大人の感覚としては外見だけで人間の偏見にしかすぎない。いくら服装が乱れていても根っから悪い人間はいないはずだ。
しかし世間の人々を一方的にせめることはできない。それは世代のずれによって生じた感覚の違いでしかたないことかもしれないが、もう少し私たちのことを信じてほしい。(高校3年生男子)
●もっとコミュニケーションを
高校では、生徒と教師双方の一方通行的な意見と考えが意外に多いのではないかと思う。この様な事も、生徒に対する行動の束縛や自由、生徒の日常の行動に大きな影響を与える原因の一つになっているのではないだろうか、家庭内にも同じ様な事が言えると思う。これらの為にも普段から生徒と教師、親と子のコミュニケーションを行えば良いと思う。(高校2年生男子)
●自分の意志を強く
裕福な社会=非行
一般に学生の青春は何かに熱中し悔いなく充実した日々を送る時に、非行に走りどんな徳があるのだろうか。中途半端な青春を送り良い思い出を残すことは不可能だ。非行は善悪を判断し誘惑に負けず自分の意志が強ければ必ず立ちなおれると思う。
非行をなくすために多くの人々が考える必要があるのだ。(高校2年生女子)
取材を終えて−もっともっと私たちの声を聞いて、という声がたくさんあつまりました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 高校3年 木内芳和君
( 写真説明 ) 高校2年 渡辺則江さん
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
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