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【広報ふじ昭和56年】子どもにとって家庭とは

人間をつくる三つの柱

 5月5日は子どもの日。
 5日から11日までは、児童福祉週間です。“健康で、すこやかな子どもであってほしい”これはすべての大人の願いです。
 子どもにとって家庭での生活は、人格形成の基盤を作る上で、もっとも重要な場であるといわれています。
 では、家庭が子どもに対して果たす役割とは…。
 主な役割として、3つの柱をあげてみました。


豊かな情操を育てる

 第一の柱は、豊かな情操を育てることにあります。
 家庭内で情操を養うには…。
 それは、子どもが家庭に帰ったとき、ほっと緊張がほぐれ、暖かさを感じるようなふんいきを作り出すこと。
 それにもっともふさわしいのは、母親の笑顔であり、言葉かけです。
 家庭の中で子どもが、母親や父親のひざに抱かれ、絵本を見たりお話しを聞いたり、遊んだりして、楽しい時を過ごすことは、子どもの情操の安定に役立ち、心の暖かさ(情操)をはぐくみます。
 これが、いわゆるスキンシップ。
 このスキンシップは、子どもの年齢が低ければ低いほど意義が大きいといわれています。
 スキンシップの少なかった子どもに影響が出るのは、思春期になってから。
 思春期以後になって暴力行為に出たり、家庭を離れて非行集団に入るなどの原因の1つとして、これらがあげられています。
 自殺をする子どもにも、同じようなことがいえるようです。
 食卓での団らんも、子どもの情緒の安定と暖かい気持が育つには重要な場です。
 団らんとは、楽しい話題を中心にして、親子が話し合うこと。
 食事中のテレビ視聴などは、団らんの破壊のもっとも大きな要素です。
 チャンネル争いや、食事を怠けて親に怒られる状況などは、団らんとはほど遠いものといえます。


自主性を伸ばしてやる

 家庭の役割の第二の柱は、自主性を伸ばすことにあります。
 自主性とは、自分で考え自分で行動する力であり、この力が育ってこそ、意欲的で創造性のある子どもといえます。自主性を育てるには、子どもに「まかせる」こと。
 まかせる−というのは、放任とは違います。子どもを見詰めながらも、口を出したり手を貸したりしないこと。それによって、子どもは、いたずらや冒険やけんかなどを体験することができます。
 これは、自主性の発達の現われであるとともに、それを促進する絶好の機会でもあります。
 昔の子どもたちは、ガキ大将を中心にしていきいきとした活動が実現され、それが自主性の発達には多いに役立っていました。そのような状況がみられなくなったいま、子どもたちは親の望む「よい子」のわくにはめられ、身動きができないでいる子どもがふえています。
 親の望む「よい子」は、おとなしくて手のかからない子どもですが、そのような子どもは、自主性の発達のおくれをはっきりと現しています。「よい子」のように見えるが、本当の友だちづきあいができない。
 けんかによって、自己主張の仕方や相手の立場を考える能力が育ちますが、おとなしい子どもにはそれが育ちにくいといわれます。


がまん強さを養う

 第三の柱は、適応の能力を養うこと。
 適応の能力は、家庭の中のきまりや秩序に従うようにしつけられることと、困難を克服する体験をさせることなどで生まれます。
 とくに子どもにとって重要な意味をもっているのは、物質的・金銭的欲望をがまんする能力を養うためのきまりです。
 たとえば、菓子やジュースなどを時間を決めて与える。小遣いは、月額を決めて与え、それ以上のものを買いたくても、がまんをしなければならないという状況を作るなど。
 これらにきまりがなく、自分の欲望に沿って与えられている子どもは、がまんをする力が弱く、家庭外に出たとき、ルールや約束を守ろうとしなくなります。
 親たちが子どもの相手をする時間が少ないと、物を買い与えたり、お金をやることによってそのつぐないをしようとする傾向が見受けられます。しかし、物質や金銭は、まったく代償にならないばかりか、情緒が不安定でありながら、がまんをする力の弱い子ども、つまり、適応の能力が極めて乏しい子どもになる可能性があります。
 もう1つは、からだを張って困難を克服するような機会を与えること。
 たとえば、木登りや山のぼりなどの体験を。
 以上、3つの役割をあげました。
 これらは特に、小学校低学年以下の子どもに大きな影響を与えるといわれます。さて、あなたの家庭では…。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 家庭が子どもの人格形成の基盤を作るための三つの柱
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