医王寺(いおうじ)のお薬師(やくし)さん
東比奈、医王寺の本堂の東側には薬師如来を祭ってあるお堂があります。この薬師如来の仏像は左の手のひらに薬つぼをのせ、右手は印を結び、やさしい顔をしてすわっています。いい伝えでは1,200年前の行基菩薩(ぎょうきぼさつ)の作だといわれています。薬師如来は病人に良薬を与える仏様として信仰されてきました。
医王寺のお薬師さんは、特に眼病を治してくださる仏様だというのでむかしからお参りする人が多く、不思議な霊験(れいげん)で眼病が治って、お礼に行く人もあります。
明治の初めごろでした。田子浦村の外山重蔵(とやましげぞう)は眼病にかかり、眠が見えなくなってしまいました。いろいろな手当をしたのですが、よくなりません。光を失った重蔵は運命をはかなんでましたが、せめてもう一度、我が子の姿をおぼろげでも見たいと思っていました。ふと思いついたのが薬師如来のことでした。「薬師如来におすがりしてみよう。」それから数年、薬師堂に日参(にっさん)し一心に祈りつづけました。
ある晩、夢の中に薬師如来が現れ「重蔵よ。長い間、日参したことはまことにけなげである。よって薬を与える。明朝、我が前に来たれ。」とお告げになりました。如来の前にはお告げ通り薬の包みがありました。重蔵が飲むと不思議にも眼病は、たちまち治り、見えるようになりました。
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( 写真説明 ) 開帳は50年に1度の医王寺薬師如来像
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( 図表説明 ) 地図
( 図表説明 ) 毎月、旧の15日が縁日。この日には、眼にちなんだおだんごが2つもらえます。