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【広報ふじ昭和55年】ふるさとの昔話

立願渕のお膳(りゅうがんぶちのおぜん)

 むかし、滝戸村の名主の家で婚礼(こんれい)がありました。
 ところが百人前の膳碗(ぜんわん)がどうしても整(ととの)いません。
 困った名主は、下男(げなん)に探(さが)してくるようにいいつけました。
 下男(げなん)は毎日あたりの村々を探(さが)し回りましたが、どうしても見つかりません。下男(げなん)は、疲れきって立願渕(りゅうがんぶち)の岩の上にしゃがみこんで、「やれやれ、婚礼(こんれい)は明日だというのに膳碗(ぜんわん)が見つからない。」とひとりごとをいいながらこまっていました。
 すると「これこれ、そこで何をしているのか。」という声がしました。
 うしろを見ると、白いひげのおじいさんが、岩の上に立っていました。
 「明日の婚礼(こんれい)に使う百人前の膳(ぜん)と碗(わん)がなくて、困っています。」というと、おじいさんは「そうか、では明日の朝早く、この岩の上に立って願いごとをいえ。わしは、この渕(ふち)の竜神(りゅうじん)じゃ。」といったかと思うと、スッーと消えてしまいました。
 下男(げなん)は、つぎの日の朝、岩の上に立って、「竜神(りゅうじん)さま、どうか百人前の膳(ぜん)と碗(わん)を貸してください。」といいました。すると不思議(ふしぎ)なことに、水の上にプカプカと百人前の膳(ぜん)と碗(わん)が浮いてきました。下男(げなん)が運んできたのを見て、名主はびっくりしました。その明日、膳(ぜん)をていねいにふきお礼をいって渕(ふち)の中に返しました。
 それからは、村の人たちも借りるようになりました。
 ある年、隣村(となりむら)の名主の家で法事(ほうじ)があり、やはり竜神(りゅうじん)さまから百人前の膳碗(ぜんわん)を借りました。ところが返すときになって数えてみると、どうしたのか膳(ぜん)が一個たりません。
 「一つくらい、たりなくても、わからないだろう。」と思って、だまって渕(ふち)の中へ返しました。
 それからのち、ほかの者が「竜神さま、膳碗(ぜんわん)をかしてください。」といくら願いごとをいっても、貸してくれませんでした。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
- 写真あり -

アユやヤマメが釣れた

植田義次さん(83歳・久沢南)
- 写真あり -

 滝戸という地名は、滝の下が戸ぶくろのようになっていたので、ついた地名だと思う。
 むかし、この立願渕は水が豊富でアユやヤマメがたくさん釣れた。
 水が豊富だということで、明治21年、入山瀬に富士製紙第1工場ができたんだよ。

記事訂正とお詫び

 3月25日発行の「広報ふじ」の4ぺ−ジ中、55年度当初予算成立の見出しの中で、総額457億9,200万円は、あやまりにつき、457億4,200万円に訂正してお詫びいたします。
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