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【広報ふじ昭和54年】ふじ・あしたかの自然への招待 19

丸火自然公園のようす 助けあう植物

植物の住みわけ

 公園で最も目につく樹木はコナラです。そのなかに、エゴノキ、シデの類、ヒメシャラ、リョウブなどがまじっています。これらの木の下には、アセビ、ツリバナ、ガマズミ、ヤマツツジ、クロモジなどの背たけの低い木があり、さらにその下には、コウヤポウキ、タマアジサイ、ハナイカダなど、もっと下には、カリヤスの類や、スゲの仲間などの草がはえています。
 林のなかでは、このように背の高いものと低いものがお互いに住みかをわけあって生活していることがわかります。これを住みわけといいます。
 植物は、背の高さだけではなく、林の内部と周辺部、かわいた所と湿った所、というように、いろいろの条件にあわせて、お互いに少しづつゆずりあい、助けあって生活しているのです。


森林を守る着物

 うっそうと茂った森林も、背たけの低い植物で、まわりが守られています。これが森林を守る着物の役目をもった仲間たちで、マント郡落とか、ソデ郡落と呼んでいます。
 マント郡落は、いくらか背の高いウツギ、マメザクラ、ミヤマイボタなどの低木や、クズ、ノブドウ、ヘクソカズラなど、つる性の植物の集まりです。これらは、日光のあたる林のへりにはえる植物で、これらの植物がはえることによって、森林内部の適当な日照や風通し、温度が保たれるので、森林にとっては、切り離すことのできない仲間です。
 マント群落の、すそのおさえの役目をしているのが、ソデ郡落で、ヤエムグラ、アカネ、イタドリなどの草が見られます。
- 図表あり -
( 図表説明 ) マント・ソデ群落
道ばたの植物(人里植物(ひとざとしょくぶつ))

 ソデ郡落の植物のなかには、家のまわりで見られる種類もあります。これが、人里植物とか、雑草と呼ばれている仲間で、植物を人とのつき合いの程度によって、わけて名づけたものです。
 田畑にはいりこんで作物と競争しているものを雑草、人のはいりこまないような所に育つものを野草(やそう)おもに道ばたなどに多い種類を“人里植物”と呼んでいます。
 公園内の広い道路沿いには、これらのどの仲間も見られます。野草としては、ホタルブクロ、ヤマハハコ、リンドウなどが、人里植物としては、カゼクサ、オオバコ、クサイなどがあります。

丸火自然公園の林の内部
 コナラ、クリ、リョウブなどの高木層の下にミツバツツジ、イヌツゲなどの低木が生えている。
- 写真あり -
添付ファイル
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