地質・地形
大渕丸尾溶岩流は、富士山の寄生火山の一つの噴火口から流れ出たものです。
噴火口は、少年自然の家から北へ、約4キロメートル登った自然林と植林地の境目にあり、浅いすりばち状のくぼ地になっています。しかし、火口には、スギ、ヒノキが植林されているので、ふつうの人では見わけがつきません。
溶岩流は、ガラガラした溶岩原を形づくり地質学のうえでは、“アア溶岩”と呼んでいます。また、噴火した時期が新しいのと、火山灰層(かざんばいそう→ローム)でおおわれていないために、水通しのよい層をつくっています。
公園内を歩くと、いろいろな地質や地形を見ることができます。それらは、溶岩樹型(ようがんじゅけい)、溶岩洞穴(ようがんどうけつ)、溶岩塚(ようがんづか=ショウレンドーム)をはじめ、溶岩球などで、どれ一つながめても、自然のみごとな造形にふれることができます。
溶岩樹型
溶岩樹型は、高い温度でとけている溶岩流が、大木の茂っている林のなかを流れたときにできたもので、溶岩に樹木の型が残っている空洞(くうどう)のことをいいます。
公園内の溶岩樹型には、溶岩が木の幹(みき)に巻きついて、転(ころ)がりながら固まったために、筒(つつ)になっているところから「管状樹型(かんじょうじゅけい)」と呼ぶものと、倒れた木をだきこんでできた「横臥樹型(おうがじゅけい)」とがあります。
また、なかには、木のはだの模様(もよう)が残っているものもあります。
溶岩洞穴(溶岩トンネル)
おもに玄武岩質の溶岩流などでは、表面が固まってから、なかのまだとけている部分が先端を突きやぶって流されると、“溶岩洞穴”と呼ばれる空洞ができます。
公園内で見られる洞穴は、ほとんど横臥樹型の空洞が溶岩流の通路になってできたものです。洞穴内の壁には木のはだの模様や、ろっ骨状のヒダが残っています。またケイ酸分が沈澱(ちんでん)してできた、ケイ酸華(ケイさんか)のほかに、とけた溶岩がたれさがってできた溶岩鍾乳石(ようがんしょうにゅうせき)なども見られます。