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【広報ふじ昭和54年】食中毒

魔の季節を乗り切るために

 最近は、食品産業の技術もすすんで、私たちの食生活はより豊かになりましたが、いまなお食中毒の事故はあとを断ちません。
 53年度の食中毒の発生状況をみますと、全国で1,300件、患者数は約3万3,000人で、そのうち30人が死亡しています。
 特に7月、8月、9月の暑い盛りがもっとも食中毒の発生が多く、このうち、一般家庭でのちょっとした不注意による事故が約4割を占めています。そこでこの食中毒の“魔の季節”を乗り切るために、家庭での注意事項あれこれをまとめてみました。


■冷蔵庫の中でも腐敗します

 “生ものも冷蔵庫に入れておけば安心”−本当にそうなのか、私たちは冷蔵庫を過信してはいないでしょうか。
 ほとんどの細菌は、温度が低くなると増殖力は急速におとろえますが、摂氏10度ぐらいでは、徐々に増え続け、時間がたつにつれて食物を腐らせます。
 また、摂氏0度になると、大部分の細菌は増殖しません。しかし、油断は禁物です。低湿菌という細菌群は、摂氏0度から5度でも少しづつ増えて、タンパク質や脂肪を分解します。ということは、冷蔵庫の中でも低湿菌は増殖できるわけですから決して安心はできないのです。
 細菌の数が魚1グラム中1億(腐った状態)に増えるまでの日数は、摂氏0度では11日ですが、摂氏7度になると4日、摂氏25度ではわずか1日で腐ってしまいます。
■保存温度は0度から5度

 このように冷蔵庫は、決して食品を長く保存するためのものでなく、鮮度の低下を少しでもおくらせるために使っていることを忘れないでください。だからといって、必要以上に温度を下げれば、細きんの増殖は防げるものの、食品は凍って味も落ちるうえに栄養価も失われやすくなります。
 そこで、結局、食品を細きんから守り、食品そのものの鮮度と栄養価を失わないための保存適温は、摂氏0度から5度ということになるのです。夏の盛りは、冷蔵庫のトビラの開閉も多くなりますし、詰めすぎたりすると、冷気の循環がわるくなりたちまち庫内の温度は、保存温度をこえて急上昇してしまいます。
 まず、お宅の冷蔵庫を摂氏0度から5度に保つことから始めてみてください。そのためには、庫内温度が外から見える「隔測温度計」をつけると便利です。


■週に1度は殺菌掃除を

 冷蔵庫の食品は1週間に1度は必ず整理して、内部のふき掃除をしましょう。油や落ちにくい汚れは、洗剤液でふき落としてから、市販の次亜塩素酸ソーダ液キャップ3杯を水約2リットルにうすめ、殺菌をかねてふき取れば安心です。ただ、塩素系のものはステンレスを腐食させますのでステンレス製の冷蔵庫には使うのはやめて、逆性せっけん液を使用してください。ついでに冷蔵庫の霜取りも忘れないでください。
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