【広報ふじ昭和54年】ふじ・あしたかの自然への招待 15
動物(No.1)
源平の富士川の戦いの“水鳥の羽音”源頼朝の“富士の巻狩り”などの昔ばなしからも、このあたりには、鳥や獣がたくさんいたと思われます。
この地域の動物についての調査が始められたのは明治の中ごろのことです。記録によれば、その後年々、種類や数が減っているようです。特に、人口がふえはじめた今から20年くらい前からは、動物には住みにくい所に変わってしまったようです。近ごろ自然を保護することがさけばれるようになってから動物も少しづつふえるようになってきています。
この地域のほ乳動物の調査は、これまで多くの専門家の人たちによって行なわれてきています。しかし、研究結果はいずれも断片的にしか報告されていませんので、正確な種類や数がはっきりわかりません。これまでに、富士山、愛鷹山などにすみついていることがわかっているおもな動物のようすを紹介します。
■サル(オナガザル科)
愛鷹山では、大棚の滝付近から上の方にすみついていることがわかっていました。
昭和50年の秋には、須津地区の東名高速道路近くのみかん畑に群れをなして現われ、愛鷹山の全域では、野猿の数もかなりふえているものと思われます。
■ノウサギ(ウサギ科)
東名高速道路北側の山ろく地域と、岩本山にいます。原田から浮島方面にかけては、ノウサギの数もたいへんふえ、農作物や、植林地があらされたりしています。この辺のノウサギは、キュウシュウノウサギといって冬でも白くなることがありません。
■キツネ(イヌ科)
タヌキと同じように山すそに追いやられています。それでも、最近はエサとなるノウサギがふえたためか、数もふえているようです。
その昔、沼川に“キツネ橋”の名があるように、富士市の全域にすみついていたことでしょう。
■タヌキ(イヌ科)
地域開発がどんどん進み、人間生活の場が広がったため、今では人里から離れた所にしか、すみついていないようです。
■カモシカ(ウシ科)
この動物たちは、愛鷹山の尾根付近を住みかにしています。一時期は、絶滅に近い状態になりましたが、その後、保護策がとられたため、最近では、その数もだいぶふえてきています。
カモシカは、国の特別天然記念物に指定されています。
また、昭和40年に駿河台変電所(今泉)の近くで“シカ”が捕獲されためずらしい記録もあり、このシカは、はく製にされて丸火自然館に保存されています。
■イノシシ(イノシシ科)
富士山よりも愛鷹山の方によく現われ、多い年では20頭から30頭、少い年でも10頭から15頭が捕獲されています。なかには80キログラムもある大物もあります。
また、一部の地域では、イノシシが山ユリの球根を食べることから、山ユリの花のふえたり減ったりするのを見て、イノシシの数を判断しているところもあります。
■ツキノワグマ(クマ科)
富士山の中腹や、愛鷹山の高いところにいるようですが、カモシカやシカにくらべると、数は少ないと思われます。昭和45、46年に天照教社付近と、十里木の牧場付近で捕獲された例があります。
また、最近では、愛鷹山の桑崎水源地付近で、足跡やフンが見つかっています。
このほかのほ乳動物としては、モグラ、テン、イタチ、アナグマ、モモンガ、ムササビ、リス、溶岩地帯にすむネズミの類、それにコウモリの類がいます。
- 図表あり -
( 図表説明 ) ホンドイタチ(イタチ科)
(次回は、動物(No.2)鳥類その他です)
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