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【広報ふじ昭和54年】ふじ・あしたかの自然への招待 13

植物(No.4)

−岩本山−

 岩本山は、そのほとんどが切り開かれて畑となり、一部は宅地化され、リクリェーション施設も作られています。しかし、地形が複雑で急斜面も多くあり、これらの人手が及びにくい所では、自然林がみられます。
<岩本山の照葉樹林>
 岩本山の自然林をつくっている樹木は、スダジイ、アラカシ、タブノキ、ヤブツバキなどです。ヤブツバキなどは葉が厚く、表面にツヤがあるので、照葉樹と呼んだり、冬にも葉が落ちないので、常緑広葉樹ともいいます。
 数千年以上も前の富士市は、この岩本山の照葉樹林のような森林におおわれていたと考えられています。それが人の力で切り開かれ、田畑や、スギ、ヒノキの植林に変えられたのですが、その名残りが、岩本山や須津川の両岸の急斜面、神社の裏山などで見られます。

<岩本山のツツジ>
 岩本山には、モチツツジがたくさんあります。花のガクに腺毛(センモウ)があり、ベトベトするところからつけられた名前ですが、花は大きい紅紫色なので、古くから庭木として植えられているツツジです。
 モチツツジは、静岡県が分布の東端ですが、県内でも主として富士川より西に多い種類です。富士市以東ではヤマツツジがふつうなのですが、この岩本山では場所によっては、モチツツジの方が多く生育しています。また、モチツツジとヤマツツジが自然に交配してできた雑種、ミヤコツツジもあります。
 このほかのツツジとしては、ミツバツツジとサツキがあります。ミツバツツジは、4月頃、葉の開く前に紫色の美花をつけるツツジで、庭木にもされています。サツキは、盆栽などに使うサツキの原種です。
 岩本山でサツキが自生しているのは、2か所ですが富士川をもっと上流に行くとかなりのサツキが自生しています。
<シロバナタンポポ>
 静岡県は、富士川を境にして植物の分布にちがいがあるといわれていますが、岩本山には、サツキ、モチツツジ、をはじめ、レンリソウ、シロバナタンポポなどの、富士川以西に多い植物がみられます。
 このうち、シロバナタンポポは、1960年頃実相寺の奥の鐘つき堂付近で発見したものですが、どうして、入りこんだものかは、はっきりしていません。
 万野のコナラ林などの下にある、クサナギオゴケは珍らしい植物です。静岡県が分布の東端ですが、県下でもわずか数か所しか知られていません。もちろん、富士市内では岩本山にしかありません。
 このほか、モクレイシ、アマナ、シモバシラなども岩本山で発見されているだけです。

−浮島沼−
 浮島が原(浮島沼)のヨシの茂る所では、3月になるとノウルシが、一面にジュータンをひいたように黄色い花を咲かせます。このほか、ミズゴケ、ヒキノカサ、ミソハギ、ヒメナミキ、ノハナショウブ、オモダカなどの湿地性の植物があります。
 ミソハギは、昔、仏前にそなえる花として、よく使われました。また、ノハナショウブは、栽培されるハナショウブの原種で、庭先に植えてあるのをよく見かけます。
 この湿地性の植物が多くあるのは、沼川の下流で、須津川、赤渕川との合流点付近から南へ広がる地帯ですが、国道一号線のバイパス工事等によって、これらの湿地性の植物も、次第に姿を消すものと思われます。

(次回は春の自然観察コースです)
- 写真あり -
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