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【広報ふじ昭和54年】富士・あしたかの自然への招待 12

植物(No.3)

−愛鷹山−

 愛鷹山は、山のなりたちが古いこと、地形が複雑なことから、植物の種類も豊富です。とくに須津川、赤渕川などの切り立ったガケや、山頂付近は、人手の入らない自然のままの姿が残されています。そのため、富士市内では最も「自然度」の高いところです。

【須津川の岩壁の植物】
 須津川は水量が豊かで、絶えることがないため、その両岸の岩壁には植物が豊富です。ダイモンジソウ、シラヒゲソウ、ホトトギス、イワタバコ等で、四季折々の美しい花をつけて、ハイキングの楽しさを倍加してくれます。また、イワユキノシタ、イワシャジンなども多く生育しています。
 両岸は切り立った絶壁のため、人手が加わらず、アラカシヤブツバキ等の常緑広葉樹の自然林ですが、海抜500メートルぐらいから落葉樹のカエデ類、シデの類が多くなり、春に紅紫色の美花をつけるミツバツツジが見られます。また海抜700メートルぐらいからは、ブナ林があらわれ、サラサドウダン、チチブドウダン、アシタカツツジなど、ツツジ科の樹木が目立ちます。
【愛鷹山付近の特有の植物】
 愛鷹山の山項付近、特に鋸岳付近には、ハコネコメツツジ、ムラサキツリガネツツジ、ヒメイワカガミ、コイワザクラなどがあります。アシタカツツジは、その名のように、この山で発見された珍らしいツツジです。
 このアシタカツツジをはじめとして、さきにあげたハコネコメツツジなどは、富士・愛鷹・箱根などの山が噴火によってできたときに、新しくこの地方に生まれた植物と考えられています。だから、この地方にしか見られない、大切な種類なのです。これらの植物をフォッサマグナ要素と呼んでいますが、この仲間に入るものとしては、このほか愛鷹山に多いハコネハナヒリノキ、マツノハマンネングサ、オトメアオイ、ヒトツバショウマ、ハコネグミ、タテヤマギク、ハコネランや、富士山麓に多いマメザクラ、サンショウバラ、フジアカショウマ、などがあげられます。
 静岡市に住む、杉本順一氏は、静岡県の植物をくわしく研究し、富士川を境にして、東西で植物の分布に違いがあることに着目して、この境界線を富士川線と命名(1948年)しています。また、東京大学の前川文夫博士も、日本全土の植物分布から、この地域の特殊性をとらえ、牧野富太郎博士を記念して、牧野線と名づけ(1949年)ています。このほか、多くの学者が、富士・箱根地域の植物を研究し、この地域特有の植物をあげています。これらのことから、富士市には、貴重な植物があり、植物分布の上から注目すべき地域だといえます。

【愛鷹山の自然保護】
 静岡県では、「愛鷹山自然環境保全地区」として、標高500メートル以上の区域を指定し、自然保護に力をいれています。
 愛鷹山には、アシタカツツジをはじめとして、ハコネコメツツジ、ムラサキツリガネツツジなどの貴重な種類が多くみられます。しかし、これらの貴重な植物も心ない人たちに荒らされ、ベニシュスラン、ウチョウラン、ハコネラン、フジチドリなど、かなりのものが絶えてしまい、そのほかの植物の数も、年々減ってきています。

(次回は植物No.4 岩本山と浮島沼です。)
- 写真あり -
( 写真説明 ) 須津川
( 写真説明 ) イワタバコ
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