富士山
◇富士山の垂直分布
富士山が独立峰であることは、植物の垂直分布にも関係しています。
植物は、気温の影響を強く受けるので、山に上り、気温が下がると、植物の種類も変わってきます。まず 標高800メートル以下では、ヤブツバキ、アラカシ、シイなど、1,500メートル以下ではブナ、ミズナラなど、中腹の2,000メートル付近では、寒い地方でよく育つトウヒ、コメツガが、それより高い所では高山植物が見られます。このような、高さによる植物の分布の変化を、植物の垂直分布と呼びますが、富士山は、この垂直分布を研究するのによい山です。
◇火山砂レキの植物
富士山のもう一つの特徴は、新しくできた火山の砂レキ地に、どのように植物が育ち始め、どのように移り変わって行くかがよくわかることです。
理論的には、中部地方では、海抜4,000メートル以上までも高山植物が生育できるのですが、富士山では3,000メートルぐらいまでしか見られません。これは、動きやすく乾燥のはげしい砂レキ地であるためです。
宝永山の南東斜面には、宝永噴火(西暦1707年・宝永4年)のときにできた砂レキ地が広がっていますがここに最初に入りこんでいるのが、フジアザミやイタドリ、オンタデなどです。それを足場にして、カラマツ、ダケカンバなどが根を張り、次第にトウヒ、コメツガなどの森林に変わって行きます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 暖帯の林(桑崎の浅間神社 海抜300メートル)
( 写真説明 ) スダジイ、サカキ、ヤブツバキ、タブノキなどが生いしげり、テイカカズラなどのつる性の植物が木にからみついています。
( 写真説明 ) あ寒帯の林(富士山新五合目付近 海抜240メートル)
( 写真説明 ) 火山砂レキのなかにオンタデ、イタドリ、オトコヨモギなどがはえて、やや安定したところには、ダケカンバ、ミヤマハンノキなどがはえています。
( 写真説明 ) オンタデ(タデ科)
( 写真説明 ) 火山砂レキのなかにはえたオンタデ、フジアザミ、イタドリ等が根をはり、砂レキが安定してくると、カラマツ、ダケカンバ、ミヤマハンノキなどの樹木がはえています。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 富士山の植物の垂直分布図
(次回は植物(No.2)愛鷹山です。)
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