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【広報ふじ昭和53年】新総合計画の論文.作文入選きまる

教育長賞 “明日の富士市に望む事”

富士市立田子浦中学校3年 酒井勇二
- 写真あり -

 僕が、明日の富士市に望む事は、まず「自然がいっぱい」という事です。
 今まで富士市は、南に広がる駿河湾、そして北には、日本の象徴ともいえる霊峰富士を踏まえるという、非常に恵まれた自然環境を維持してきました。けれども、ここ数年のうちで、環境保全の不備からか、はたまた、無計画な乱開発の結果からか、富士の裾野は無残に、森林が切り開かれ、ゴルフ場になったり、宅地分譲地になったりしてしまいました。また田子の浦港においては、過去に大量のヘドロが発生し「公害都市富士市」「ヘドロの田子の浦港」という、郷土に住む僕たちには、情けないようなイメージを、世間の人々に植えつけてしまったようです。そして、また、工業の進出の前に農業、漁業の関係者の数は、目に見えて減っていますし、僕の家の裏にあった田にも、建売住宅が立ちならびました。
 市内でも各地に新しい建物がどんどん建ち、田や畑は、日に日に姿を消していくようです。これでいいのでしょうか。自然との共存が、人間の手で謀られなければ、どうして人間だけが発展を望めるでしょうか。自然との調和を考えて新しい開発をせねば人間は自らの手で、自分の首をしめ、自滅への道を歩むのではないでしょうか。僕ら富士市民には、日本の象徴富士山と、その周囲の自然を守り、次の新しい世代に、しっかり手渡す義務があると思います。そのためには、市民一人一人の心の中に、「私たちの富士の自然を守っていこう」という意識を植えつけねばならないと思います。
 ゴミ、空缶などで自然を損なわぬよう、多くのゴミ箱を作り各地に設置したり、街路樹なども多く植え、そして河川敷で成功した緑地公園も、もっと各地に作ったりして、人々を緑になごませる事が必要だと思います。それには富士山麓へのゴルフ場、レジャーランド、宅地分譲地の進出など、乱開発に規制を加え、自然を守っていかねばなりません。そして、そのような対策を施した上で、環境保全地区などを設け、自然を保持していけばよいと思います。
 よく、現代の子は自然に接する機会がないと言われます。虫でさえ、デパートで買うのです。僕は富士市の新しい世代の子供たちには、街路樹の豊富な舗道や、ゴミや空缶のない山道を歩かせてやりたいと思うのです。僕が、もう一つ新しい富士市に望む事は、「老人や障害児が暮らしよい社会」にするという事です。
 静岡県は交通事故件数が、例年多い事で有名だし、中でも、子供、老人の事故は多く報道されています。この対策に、目の不自由な人たちのために、音で合図する信号を設置するとか、健康な人が、老人の手を引き、道路を渡す運動などを起こしたら良いと思います。また、一人暮らしの寂しい老人と、電話で話しをしてあげるにとどまらず、話相手が家を訪問してあげたらどうでしょう。また耳の不自由な老人のため、音量調整できる電話や、一人暮らしの老人のため、ボタンひとつで病院、知り合いに直通する電話があると聞いているので、それを支給すれば、喜ばれるのではないでしょうか。その他、病気の早期発見のため、定期的無料検診の回数を増やすとか、市に無料老人ホームがあるそうですが、かなり古いようですから、近代的な物を作り、身寄りのない老人が安心して利用できるようにしてあげられないものでしょうか。
 また、とかく孤独になりやすい老人のため、お年寄り同志のサークルを広い地域で、もっと盛んにして、張りのある、楽しい生活を送れるよう心を配ってあげれば良いのではないかと思います。
 それから、障害を持つ人々は、きっと世の中で人々に奇異の目で見られ、そして同情されているのではないでしょうか。思うに同情するという事で、かえって相手を傷つける事が、ままあるのではないでしょうか。僕自身怪我をした時など、何もできない自分を歯がゆく、そしてかなり情けなく思ったものです。
 同情をしても、その人の立場にはなれないのですから、その人たちのために、でき得る限りの事をしてやればよいと思います。
 たとえば、図書館にある目の悪い人のための、名作のカセットも、名作だけでなく、もっとバリエーションを増やす事や、電動の車椅子を支給したりする事や、身体障害者専用の運動施設を作ったりする事も、もっと積極的にすれば良いと思います。点字広報の他に、点字の図書館も開く計画のようですがとても良い事だと思います。
 そして障害を持つ人々も普通の人と同じように、明るく暮らせるような市になってほしいと思います。
 僕が、最後に富士市に望む事は、教育、文化が更に発展する事です。そのために、図書館の数をもっと増やして欲しいし、移動図書館も、もっと保有台数を増やして欲しいと思います。
 また、現在富士市の歴史や民話、伝説などの本が出まわっていますが、このたぐいの本も、各校の図書館で利用し、生徒たちの、郷土についての興味を深めさせてあげたらどうでしょうか。計画では、芸術文化のため、郷土資料館というものを作るそうですが、そういう事も含めて、郷土の歴史の再確認をするのはとてもすばらしい事だと思います。僕の理想とする富士市像は、緑がいっぱいで、それでいて文化的で、全ての人々が皆明るく生活していく都市なのです。
 自然と調和しながら発展していく町、活気に満ちた町、そういう富士市になってほしいと僕は思います。
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