愛鷹火山のおいたち
愛鷹火山(あしたかかざん)のできた年代は、はっきりしていませんが、浸食のようすや、溶岩の特徴などから、小御岳火山と同じころと考えられ、前後2回にわかれて噴火しました。
そのころの山は、今の富士山と同じような形をした高さ2,300メートルほどの山でした。しかし、山体は、長い間の浸食で山頂もなくなり、越前岳(えちぜんだけ)(1,505メートル)、呼子岳(よびこだけ・1,313メートル)大岳(おおだけ・1,253メートル)、鋸岳(のこぎりだけ・1,296メートル)、位牌岳(いはいだけ・1,457メートル)、愛鷹山(1,187メートル)とにわかれて、連峰のような形をした山になりました。これら山々のすべてを含めて「愛鷹山」と呼んでいます。
また、山体には、赤渕川、須津川、春山川、桃沢川、大沢など、“百沢”(ももざわ)と呼ばれるほどの多くの谷があります。どこも、両岸が切りたったような深い谷になり、今も少しづつ浸食がすすんでいます。
愛鷹火山の溶岩流にも、水を通しにくい層があります。この地層は、原田・今泉方面にも広く分布しているようです。愛鷹山で地下にしみ込んだ水は、地下水となってこの層にそってふもとに流れています。原田などでは富士山の溶岩の下から、湧き水となってでています。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 愛鷹火山開析模式図 A:原地形、B:幼年期、C:壮年期に移行、D:壮年期(現代)、E:老年期(未来)
- 写真あり -
( 写真説明 ) 大棚の滝(須津川)
( 写真説明 ) 湧き水を集めて地表を流れている水も、この滝の下流で、再び地下にしみ込んでしまう。
(次回は、「地質・地形」No.4、地質・地形のうつりかわりです。)