■新富士火山の活動
古富士火山の噴火活動はしばらく休んでいましたが今から1万年前ごろ、富士山は再び活動をはじめました。これが新富士火山と呼ばれているもので、この噴火活動によって、山体はしだいに高くなり、海抜3,776メートルの現在の美しい円錐形(えんすいけい)をした富士山に成長しました。
この火山の噴火は、それまでの噴火と異なり、多量の岩板溶岩が四方八方に流れて、南側では、富士市や三島市まで達しています。これらの溶岩は、噴き出した順序や、分布しているようすから、旧期、中期、新期にわけられています。
新富士火山のおもな噴火の終わりごろから富士山の中腹以上で活動がはじまり、おびただしい数の寄生火山(きせいかざん)ができました。新しい寄生火山のいくつかには「丸尾(まるび)」と呼ばれる溶岩のむきだしになった所があります。
丸尾のなかでも最も大きなものは、西暦864年(貞観(じょうかん)6年)に長尾山から噴き出された青木ヶ原丸尾です。この溶岩流は、昔、「せの海」と呼ばれていた湖に流れ込み、この湖を、精進湖(しょうじこ)西湖(さいこ)の2つの湖にわけました。
富士山は、西暦1707年(宝永(ほうえい)4年)の宝永山の大爆発(だいばくはつ)を最後に「休火山(きゅうかざん)」となり、静かな眠りを続けています。
◇寄生火山(きせいかざん)とは……
マグマ(どろどろにとけている溶岩)が、山腹の弱い所を突きやぶり、噴き出してできた小型の火山のことをいいます。別名 “側火山(そくかざん)”といいます。
この付近には、大渕丸尾(おおぶちまるび)、西臼塚(にしうすづか)、東臼塚(ひがしうすづか)宝永山(ほうえいざん)の火口などがあります。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 富士山の地質
( 図表説明 ) 富士山の規模
(次号は地質・地形No.3・愛鷹火山のおいたちです。)