【広報ふじ昭和53年】望ましい都市の姿 よりゆとりある安定したまちづくりへ
都市づくりの考え方
富士市は、富士愛鷹山麓などの豊かな自然資源と、京浜地域に隣接するという地理的な条件に恵まれ地場産業である製紙を中心に県内有数の生産都市としてめざましい発展を続けてきました。しかし、そこには先人の多くの労苦がかくされており、今日の富士市は営々として積み重ねられたこれらの多くの人々の努力によって築きあげられたものであります。わたしたちは、この歴史のうえに立ち、新たな視点から現在の富士市を“よりゆとりのある安定した都市”として発展させ、次の世代に継承するため、ここに富士市のあるべき姿とこれを達成するために必要な施策のあらましをつくりました。
以下、順を追って説明します。
すべての市民が豊かで文化的な生活が送れるように
都市づくりの究極の目標は、人間尊重の理念に立ち、すべての市民が豊かで文化的な生活を享受できる福祉社会を実現することにあります。しかし、現代は都市市民にとってきびしい時代であり、災害、自然環境の破かいや公害の発生、生活環境の問題の中で本市は、都市づくりの理念を「快適で豊かな人間環境の創造」とし、次のことを基本姿勢として健康で文化的な生活をいとなめる個性と魅力あるふるさとづくりをすすめてまいります。
●魅力ある都市とするには……
すべての市民を公害、交通禍、災害から守り、医療・住宅・下水道・公害・廃棄物処理さらには、社会的に弱い立場にある人々の防衛、教育や文化等市民の生活条件をより充実させすべての市民に、安全・健康・快適・能率的な生活環境を保障することを最優先します。
●自然や緑を守るためには……
自然や緑は、人間生活にとって欠くことのできないものです。自然と緑の宝庫である富士愛鷹山麓は、市民にとってかけがえのない財産であると同時に、何ものにも優る富士市のシンボルであり又ほこりであります。したがって、この豊かな美しい自然や緑を市民全体の責任で守り、次の世代に正しく受けついでいけるよう努力しなければなりません。
●個性豊かな都市とするには……
都市は、市民全体のものであり市民一人一人の責任と協力にもとづく連帯感や郷土愛が生れてこそ、創造できるものであります。本市では、それにこたえられるよう民主的な市政運営をはかります。
めざす4つの都市像
「生産と生活の調和する産業文化都市」をめざして次の4つの都市像の実現をはかります。
(1)富士、愛鷹山麓の自然や生活と環境を守る人間環境都市
(2)こどもや老人を大切にする豊かさとやすらぎのある福祉都市
(3)創造性豊かな人づくりと香り高い文化を育てる教育・文化都市
(4)だれもが希望をもって働くことのできる活力ある生産都市
市の役割
富士市は、首都圏に近いうえ、東名高速道路をはじめとする交通網の整備により時間的な距離が縮少し、社会・経済・文化等いろいろな面で首都圏からの影響を強く受けています。
一方、東京等がかかえる巨大都市の過密問題はますます大きくなり、今後も人口、産業等の地方への分散がすすむことが予想される中で、本市が果さなければならない役割として次のことを正しく認識し、これを都市像の実現に向けていかすことが必要であります。
(その1)大学等の高次教育機能の受け入れを行ないます。
国では、今後の地域政策の柱として地方振興型の「人口定住構想」を提唱し、首都機能の分散を主要課題の一つにあげています。
首都圏から分散される機能に対してその受け入れを求められることも考えられますので、それには計画的な選択が必要であり、とりわけ大学等の高次教育機能の受け入れは、富士地区広域生活圏における中心都市として極めて意義のある役割です。
(その2)雇用の場を拡大し、生産中枢都市としての役割を果します。
本市は、第2次産業にその特色をもち、工業の進展を基として都市化がすすめられ、今日まで市民はもとより近隣市町村に対しても雇用の場を拡大し、広域都市圏における生産中枢都市として重要な役割を果してきました。今後も一層この役割が、定住圏構想推進の担い手として要請されてくると思います。
(その3)富士山麓の豊かな自然環境を守り次の世代に正しく継承します。
日本の象徴である富士山をゴルフ場、分譲別荘、レジャー施設などの乱開発から守り、富士山麓のすぐれた自然環境を文化的、社会的な郷土の資産として、次の世代に正しく継承し人間環境都市をめざします。
希望をもって「住み」「働き」「憩う」ことのできる活力あるまちに
●人口
本市の人口は、生産都市としての性格上県下の都市でも有数の高い人口増加率を示してきましたが、近年の増加率は経済状況の悪化や環境問題の制約等も加わり鈍化の傾向にあります。人口規模の想定にあたっては、これまでの人口の都市集中化がもたらしてきたへい害を考慮し、その規模は適正規模の人口に止めるべきであるという立場をとり、ゆるやかな人口の増加をめざしつつ、昭和60年における人口を229,100人と想定します。
- 図表あり -
( 図表説明 ) ●地区別人口
( 図表説明 ) ●人口と世帯数
( 図表説明 ) ●人口の年齢構造
自然と調和しながら土地利用を…
●土地利用の考え方
生活と生産の場を調和させ、市民のすべてが健康で安全に住み、働き、憩うことのできる地域社会の形成を基本とし、
・市街化区域は道路や下水道等を整備するとともに商工業を計画的に配置し市街地の無秩序な拡大を防ぎます。
・農業地域は農道、排水路、圃場整備等への投資を中心に計画的な農業の振興をはかり乱開発を防ぎます。
・森林地域は造林や林道整備等への投資を中心に計画的な林業振興をはかり乱開発を防ぎます。
・自然公園地域及び自然保全地域は良好な自然環境を守る地域として自然環境を破壊する行為を防ぎます。
- 図表あり -
●土地利用
土地は人間生活のすべての活動の基盤であり、利用のねらいは“生産と生活の場”を調和させ市民のすべてがそこに健康であり、働き、憩うことのできる地域社会を形成することにあります。そこで、本市の自然的条件や地域の特性をいかしながら、次のような地域ごとの整備方向にそって、調和のとれた土地利用をはかります。
1.岩本山と浮島の水田地帯を除くおおむね標高150メートル以下の地域については、都市地域として整備充実します。
2.浮島の水田地帯や岩本山、富士、愛鷹山麓の畑地地帯は水稲、野菜、果樹、園芸等地区の特性に応じ、農業地域として整備します。
3.吉原の市街地や富士駅周辺は、商業業務用地域として高度利用をすすめ、また田子の浦港背後地を中心にこれに連なる国道1号、ならびに東海道沿線と鷹岡地区の身延線沿い、それに浮島工業団地は、製紙、機械、化学等を中心とする工業地帯として、秩序ある利用をはかります。住宅地域は、従来の市街地とともに、緑地環境を保全しながら良好な住宅の形成をすすめます。
4.富士、愛鷹山麓の森林地帯は、森林を育成し、治山治水にあわせて自然環境の保全に努め、公益的機能の維持をはかります。
5.富士箱根伊豆国立公園地域である富士山頂から標高概ね1,000メートルに至る区域と、自然保全地区である愛鷹山の標高おおむね500メートル以上の区域を、自然環境の保全を前提に適正な利用をはかります。
なお、富士川の河川敷の空地は、スポーツ・レクリェーションの場所として整備します。
添付ファイル
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