わが国は、世界有数の地震国であり、過去において、マグニチュード7以上の大地震にたびたび見舞われ大きな被害をこうむっています。
特に東海地域については、一昨年秋、大地震発生の危険性が指摘されたのを契機として、社会的に大きな関心が集められています。
地震災害から、貴い人命や財産を守るためには、できるだけ早く、地震の発生を予知することがたいへん重要です。このため政府は、地震予知の研究、観測を強力に進めるとともに、大地震発生の可能性を緊急に判定するための組織として、東海地域判定会を設置しました。
地震予知は、未だ研究開発の段階にあり、必ずしも確実に予知ができるわけではありませんが、東海地域に張りめぐらしたヒズミ計などが急激に異常を示した場合、ただちに判定会が開かれ本当に地震がおこるか否か、緊急に判定し、みなさんにすみやかに連絡されることになっています。
地震による災害は、あらゆる災害のなかでもっともおそろしいものです。それはとつぜんおそってきて、大きな被害をもたらすからです。科学技術の発達で、いまでは台風は南の海上で発達してからひきつづき動きをとらえることができますし、急にくることでおそれられていた津波も完全とはいえませんが予報ができるようになりました。
しかし、私たちが住んでいる地面の下のことは意外に複雑でナゾの部分が多く地震のくわしいしくみや地震がいつ、どこでおこるかはわかりませんでした。それこそ「地震のことはナマズにきけ」というほかはありませんでした。
地震がおこるのを前もって知ることができたら…。これは地震国日本に住む私たちの夢でした。
ところが最近この夢が実現になろうとしています。「大地震がおこる前に、これをなんとか予知してみなさんにつたえよう」というこれまでになかった新しいこころみがはじまっているのです。(つづく)