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【広報ふじ昭和52年】造林シリーズ【最終回】

春の植栽造林の適期

 春は造林の適期、あちこちで植樹祭が行われたり、庭の片隅に苗木を植えて新入学や結婚式を記念したりして、みどりの環境をつくるもっともよい季節です。とくに野山への植林は面積、効果ともに植林の王者といえましょう。現在市内の民有人工林は7,500ヘクタールあり、市の総面積の約3分の1に当ります。4〜5年生主伐の輪伐を実施し植栽をしていきますと毎年180ヘクタール伐採し造林することになりますが、現状は幼令林が多いので20〜30ヘクタールの植伐にとどまっております。

 それでは、これから植栽して立派な森林を仕立てることについて重要なことを2〜3ふれてみましょう。

(1)適地に適木を植えること

 まず大事なことは、その土地に合った樹種を選ぶことです。これを適地適木といって、造林ではもっとも基本的なことです。木は樹種によって、土壌や気象条件に対する性質が違います。たとえば「スギ」は養分に富んだ湿気のある土地が適し「マツ」は乾燥した土地でもよく生長します。「ヒノキ」はその中間ぐらいです。したがってその土地の条件に適した木を植えることですが、富士市の民有林では、木材価格や成長と考え合わせると大部分の土地は「ヒノキ」の造林が適当です。
(2)良い苗木を選ぶこと

 苗木には、実生苗とさし木苗がありますが、いづれにしても木の一生は、まず良い種にはじまり、苗木の良し悪しが、造林成績に大きな影響を与えることになります。素質のよい苗木をつくるためには、質のよい親木を選んで、種やさし穂を取ることが大切です。このために法律にもとづいて母樹林が各地に指定されています。さらに昭和32年から国の事業として「スギ」「ヒノキ」「マツ」などの品種改良がすすめられています。採種園や採穂園などが国や県の育種場につくられていますが、一般の造林用苗木を満たすところまできていませんので、母樹林から県が直営で採集して育成した系統確認苗木を使って造林することが一番現実的なよい方法です。


(3)よい植え方をすること

 いかによい苗木でも、植え方が悪くて枯れてしまっては問題になりません。ていねいに植え付け1本残らず活着し、植えた年から盛んに生長するようにしたいものです。また植え付け前に「地ごしらえ」といって雑草や低木を刈り払ったり、木の枝や葉などをよく整理し、あとの仕事がやりやすいように規則正しく植えます。また、植栽本数は、どのような木材を生産するか、そのためにどんな仕立てをするかということからも植付け本数が違ってきます。たとえば、植付け本数を多くし、そのあとの間びき(間伐)をあまりやらないで、密植仕立てをしますと、細長い、年輪の細かい木材が生産されます。反対に、少なく植えて疎植仕立てにすると幹は太く年輪のあらい木材が生産できます。このほか、植付け本数を決めるには土地の肥えぐあいや交通の便なども関係してきます。森林づくりは、長い年数をかけて行うものですから、どのように仕立てていくか、最初の計画が大切です。市内で「ヒノキ」柱材生産には1ヘクタール4,000本くらい植え、伐採の時点で1,000本〜1,500本くらいに仕立てるのがよいと思われます。また、植栽のあと熱心な人は肥料をやって成長を助け、よい管理をしています。

わたしたちの手で美しい豊かな森林を…

 富士市は全市の約50パーセントが森林で1万700ヘクタールあります。森林はわたしたちの生活に深いかかわりあいをもっております。森林について正しい知識をもち、大切に育てて森林をわたしたちの生活に役立つように利用することを考えなければなりません。森林の役割りを大きくわけると木材をはじめとして、いろいろな林産物が生産される効用と水源を守り、国土を守り、生活環境を守る効用のふたつになります。日本では現在、年間1億1千万立方メートル(1人約1立方メートル)の木材が消費されていますが、その65パーセントは輸入材にたよっています。世界的に見て木材は不足する傾向にありますので、立派な活力あふれる森林に仕立てて良い木材の生産を上げるとともに澄んだ空気、きれいな水、災害の防止、街の安全などにおおいに役立つ森林を大切に育て利用するためにこれからもみんなで考えていきたいものです。
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