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【広報ふじ昭和52年】ふるさと昔話

つるまきだ

 ずっと昔のことです。
 中里の宇佐八幡宮の境内に、昼でも木の下はうすぐらい大きな松の木がありました。その松の木へどこからか鶴が飛んできて卵を生み、ひなをかえしては育て、寒くなるころまたどこかへ飛んでいってしまいます
 ある年のことです。いつものように鶴が飛んできて卵を生み、ひなをかえしました。ところがある日のこと、どうしたはずみか、ひながいち羽巣から地面へ落ちてしまいました。
 親鶴はびっくりしてひなを巣へかえそうとしましたが、どうしてもできません。鶴がこまっているところへ、山から家へ帰ろうと、ひとりのおじいさんが通りかかりました。おじいさんは、鶴がこまっているのを見てかわいそうになりました。
 ひなを拾い上げて木の上を見ると、ずっと高いところに巣が見えます。おじいさんは木のぼりの名人でしたが、こんな高い木にのぼったことはまだありません。でも、こまっている鶴を見ていると、ひなをなんとかして助けてやらなければという気持でいっぱいになりました。おじいさんは勇気をだして木へよじのぼり、やっとひなを巣へかえしてやりました。
 こんなことのあったあくる年、村は大飢饉におそわれました。すっかり食べるものがなくなった村人は、種にしようと大切にとっておいたタネモミまでも食べつくしました。村では春になっても種まきができません。すると、どこからか鶴が飛んできて、田んぼに種をおとしていきました。
 秋がやってきました。するとどうでしょう。鶴がまいた種がりっぱに実り、村人は鶴のおかげで救われました。うえ死にしないでもすんだのです。
 村人は、この鶴を神様の鶴として大切にするようになりました。そして、鶴が種をまいた田といういわれで、この田に「つるまきだ」と名をつけました。これは、今でも中里に残る昔ばなしです。
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