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【広報ふじ昭和52年】渡辺市長の市政方針1

昭和52年度に当り…

3月10日からはじまった定例市議会本会議で、渡辺市長が昭和52年度に臨む市政執行の基本的な考え方とこれから行っていく施策の大要をのべましたので、そのあらましをお知らせします。

市民の幸せをすべてに優先する市政を

 低成長時代を迎え、市政をとりまく環境はまことに厳しく、ことさら地方財政は極めて弾力性に乏しいものとなっていますが、都市化のエネルギーはとどまるところを知らず市民のみなさんからの要請はつのる一方で、自治体への期待は一層大きくふくらんでいます。こうした厳しい財政環境の中で“市民の幸せをすべてに優先する市政”を行うため、市民生活にとって今、最も必要とするものは何かという優先度と選択を加え、市民のみなさんの合意を深めながら有効適切に市民要求の実現をはかっていきたいと思います。この中で、わたくしは、市長職2期目のしめくくりの年として多くの市民のみなさんの切実なご要望に応えるため可能な限りの積極予算を編成し、義務教育施設の整備、道路河川の新設改良、下水道等の生活関連事業、福祉施設の整備と制度の新設拡充、地震災害対策、災害復旧事業、中小企業に対する諸施策等に力点を置きました。
 新年度における予算規模
・一般会計   222億9,000万円
・企業会計を含む特別会計
        103億9,961万5千円
・総計   329億8,961万5千円

◇4つの重点施策
・いのちと健康を守るための施策
・快適で住みよい豊かなまちをつくるための施策。
・こどもや老人等の生活を守るための施策
・教育や文化の向上を高めるための施策

“いのちと健康を守るために”

◎…公害やあらゆる災害から市民を守り、安全を確保するため、河川の新設、改良と昨年8月の豪雨災害の復旧事業、地震対策に力を入れていきます。

1 公害防止対策

(1)大気汚染防止対策
 硫黄酸化物についてはすでに“富士503計画”が達成したので、今後は高濃度汚染地域にある工場を中心にガス燃料化への積極的な行政指導とガス化転換中小企業者に対して公害除去資金貸付金利子補給の大巾な拡大をはかっていきます。また、窒素酸化物については、煙道排ガス測定器を設置するほか、3か所の風向風速計を更新し、測定局の機器を総点検して監視体制の強化につとめます。
(2)悪臭対策
 公害対策審議会からの具体的な対策方法などの答申をまって施策をしていきます。
(3)水質汚濁防止対策
 田子の浦港のヘドロは、県の上乗せ排水基準を守るよう監視するほかPCBなどの健康有害物質の調査指導とともに環境水質についても定期観測、潤井川の常時監視、河川の水中生物調査の実施などによって良好な水質環境の保全につとめます。
(4)その他
 国鉄新幹線、東名高速道路の騒音や振動等の対策については、防音壁等施設整備の充実と沿線住民の移転等を関係当局に積極的に要請し、また、大気汚染による健康被害者の救済については補償給付を引続き行い健康回復のための転地療養等福祉事業についても配慮します。

2 交通安全対策
 総合交通規制を軸として交通弱者の事故防止策を積極的に実施し、こどもと老人、自転車利用者を事故から守るため、引続き歩車道分離のための歩道整備や道路照明灯、反射鏡防護柵などの交通安全施設の整備、ゆっくり走ろう運動の定着化、幼児交通安全クラブの育成強化など市民総ぐるみの交通安全運動を行っていきます。

3 防災対策
(1)河川災害対策
 昨年8月の集中豪雨災害を再び起さないよう赤淵川、須津川、滝川、沼川の各水系を災害助成や激特事業で約100億円かけて抜本的に改修するほか、中小河川25か所の新設改良など災害に強い都市の体質づくりを目的とした給水対策に万全を期します。
(2)富士海岸保全対策
 建設省が海岸浸蝕対策工事を引続き行う予定ですので、今後も予算の増額と工事の早期完成を強力に働きかけます。
(3)地震対策
 プロジェクトチームによる震災時の実践的な検討を進めるとともに、飲料水用ろ過器や給水対策資材の充実、地域防災組織の育成、県総合防災訓練の開催、耐震用防火水槽17基の設置、可搬式小型動力ポンプ12台の整備、地震対策用備品等の備蓄を行います。
(4)消防対策
 現在の富士分署を松本地区へ移転改築するとともに第9分団車庫の新設とポンプ車の配置、第4分団、第17分団のポンプ車を新しくします。また、消防団員の報酬引上げ、災害出動手当の新設および退職報償金支給年限の引下げをはかります。

4 医療対策と病院事業
 市立中央病院は地域基幹病院として果たす役割がきわめて大きいため2億円でコンピューターX線断層診断装置を導入し、病院拡充については、52年度中に基本計画をたてられるよう調査研究を行います。このほか、医師会の救急医療等の業務活動に対する助成費の増額、住民健康調査等保健サービス事業の充実、スモン・ベーチェット病等の特定疾患に対する救済措置等を引続き行います。

5 国保事業
 診療単価の引上げ、受診率の向上高額療養費の支給など保険給付の大巾増加が見込まれる中で、51年度はどうにか保険税率を据置くことができましたが(すでに県下他都市の大半は51年度に引上げを実施)止むなく賦課総額について被保険者一世帯当り42.9パーセントの保険税とあわせて課税限度額15万円への引上げを行います。

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( 写真説明 ) 市立中央病院は拡充基本計画を…

“快適で住みよい豊かなまちをつくるために”

◎…市民生活の利便と快適性を確保するため、引続き道路の新設改良および下水道の整備を重点に進めていきます。

1 住宅対策
 建築費と地価の値上りで市民の住宅建設意欲はさまたげられています。このため、勤労者持家住宅建設資金融資事業、老人同居世帯住宅改良資金融資事業等に引続き所要の措置を講じ、富士見台団地に90戸の市営住宅を建設、災害住宅復興建設資金融資の貸付限度額150万円を300万円に引上げます。また、建築指導行政の執行体制強化のため53年度から開設予定の特定行政庁の準備に入ります。

2 道路の整備
 一般市道では、主要生活道路36路線の新設改良、国道一号沼津バイパス開通までの暫定措置としてアクセス道路の新設を行うほか舗装、維持改良、私道の舗装助成、昨年8月の豪雨災害による道路復旧なども行います。また、新たに道路や側溝など緊急かつ軽微な修繕については市民の要望に応じて直ちに市民相談室で処理できる制度を発足させます。一方、都市計画道路については田子浦〜伝法線の立体交差が本年11月完成する見通しとなり、富士地区南北の交通緩和がはかられます。国道139号バイパスの西富士一般有料道路の早期完成を働きかけ、市街化調整区域の見直しのための基礎調査も行います。
3 土地区画整理
 富士駅周辺、依田原新田、富士中部3地区の継統事業と新たに組合施行の神谷土地区画整理事業の推進により秩序あるまちづくりをめざします。

4 上水道事業
 第4次拡張事業を重点に、今後の拡張計画の基本構想の検計、隔月検針・隔月徴収の実施と料金の賦課・納入事務の機械等による経営の合理化をはかります。

5 下水道事業
 富士処理区終末処理場の整備に重点を置き、吉原、富士見台の既設処理場の整備や管渠布設などを行います。また、元吉原など4下水路の整備と田子浦中西部地区排水計画なども進めます。

6 ごみとし尿処理
 ごみ収集車5台を更新し、ごみの回収と再利用を全市的に普及するようつとめます。し尿処理は、第1清掃工場処理施設が老朽化しているため、抜本的な対策の準備を進めます。また、産業廃棄物の処理については最終処分地の問題を含めて適切な指導をはかっていきます。

7 PS処理
 共同焼却場の建設を基本に、暫定処理についても市民の理解とご協力で市内処理ができるよう企業とともに努力していきます。

8 みどりと自然環境の保全
 総合運動公園陸上競技場と野球場内野スタンド等の整備、身延線廃線敷を利用した富士緑道整備に着手します。この緑道は、学童通学路や災害時の避難路、避難場所としても活用でき、55年までに整備を終ります。また、浮島沼の釣場整備なども行います。

9 農林業と中小企業振興対策
 沼川湛水防除事業をはじめ、農道32路線の整備、中核林業振興地域整備促進事業の積極的な推進のための基礎づくり、商工中金預託金の増額、中小企業相談指導体制を充実させるための運営助成の増額などを配慮しました。
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( 写真説明 ) 富士見台団地に90戸の市営住宅を建設

“こどもや老人等の生活を守るために”

◎…きびしい財政環境の中にあっても福祉の充実は、自治行政の原点でもあるので、福祉優先の政策を国に強く求め、当市においても伸展させるよう努力する考えです。

1 こどもと母親対策
 仮称森島保育園を新設、既設保育園の水洗化、民間保育園の建設費と運営費の助成増額、民間社会福祉施設運営費等の助成を行います。また乳幼児医療費の助成対象に母子家庭等の児童を加え、母子家庭等児童の入学祝金支給制度を新設します。

2 老人福祉対策
 老人医療費の無料化、老人家庭奉仕員委託事業、入浴車巡回サービス民間社会福祉事業の建設助成などを引続き行うほか、ひとり暮しの老人宅に老人福祉電話10台の設置と社会福祉センターへ健康器と機能回復訓練のための機器を設置します。また公会堂などを利用した簡易老人憩いの家の設置助成、老人農園の開設、仮称田子浦福祉センターの建設用地取得などを行います。

3 心身障害児者対策
 総合育成施設(そびな保育園、ふじやま学園、くすの木学園)に統合給食設備を整備し、そびな保育園は定員増をはかるとともに精薄児通園施設そびな学園として発足させます。

4 低所得者対策
 重症患者の高額医療費の貸付事業に対し、社会福祉協議会へ助成措置を行います。

5 消費者対策
 消費者運動連絡会、消費生活モニター等の消費者組織と協調して、消費者利益の増進を第一義とした施策を展開していきます。

6 公設卸売市場
 不参加市場への参加実現に努力するとともに、市場運営協議会の意見を反映して市民生活安定に寄与できる市場実現に努力します。

7 勤労者福祉対策
 中小企業福祉対策の一環として、新たに事業主に掛金の一部を助成する中小企業退職金共済制度加入促進補助事業を創設し、勤労者の福祉向上と雇用の安定をはかります。また勤労者が余暇を有効に活用するため富士ハイツに次いで勤労者体育館を総合運動公園に誘致する見通しがつきましたので、とりあえず事務に着手します。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 市民の生活安定に寄与できる市場実現に向かって
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