富士火山が残した八幡穴と不動穴
市内に、八幡穴(はちまんあな)不動穴(ふどうあな)とよばれる、溶岩洞穴(ようがんどうけつ)があるのを知っていますか。この2つの洞穴は、今から1万年くらい前の富士火山が残したものです。
−溶岩洞穴は、どんなふうにしてできるんだろう−
ふん火で流れ出した溶岩は、しばらくすると表面は冷えて固まりますところが、内部の方は長いあいだ高い温度のままでドロドロにとけていますから、火山ガスが発生します。でも、ガスの出口はありません。ガスはどんどんたまって、とうとう大きなひとつの力になって表面の弱い部分をつきやぶります。この、ガスのぬけ出したあとが溶岩洞穴なのです。
富士山の溶岩洞穴は、30メートル以上のもので74見つかっています。市内にも4〜5か所あって、大きいものが久沢の八幡穴と大淵の不動穴です。
−八幡穴の中は、どうなっているんだろう−
この穴は、3つに分かれています。はじめにできた洞穴の中に、新しい溶岩が流れこみます。穴の中がいっぱいになると、べつの方向にも流れだし、また、そこに洞穴ができたためです。こういう現象は大変めずらしく、ほかには裾野市にあるだけです。
−不動穴の中は−
ここには、たくさんの洞穴生物がいます。シロツチカニムシは、富士山でここだけにしかいません。そして、おもしろいことに生物の分布では富士山は表日本系なのに、シロツチカニムシやフジメクラチビゴミムシは、裏日本系の生物なのです。
このように、2つの洞穴にはそれぞれ特色があります。市は、天然記念物に指定して大切に保存していきます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 入口から62メートル お不動さんをまつった不動穴
- 図表あり -
( 図表説明 ) めずらしい現象の八幡穴(平面図)