口から口へと語りつがれた昔ばなし。私達のふるさとにも、昔ばなしはたくさん残っています。
あまり古い話ではありません。
吉永村と今泉村、それに大淵村にまたがって大峯山があります。この山はあまり高い山ではありませんが人里遠くはなれ深いカヤ野の山でした。
ある日のこと、今泉村のお百姓さんが、大峯山の近くに草かりに出かけました。ふと足もとを見ると、なにか大きな丸太のようなものがころがっています。
なんだろうと思ってよくよく見ると、それはなんと大きなうわばみ(だいじゃ)ではありませんか。お百姓さんのおどろきようといったら……もう息がとまってしまうくらい大変なものでした。
血の気もうせたお百姓さんは、まっさおな顔をして家へにげ帰り、あまりのおそろしさのため、そのまま寝こんでしまいました。そして、とうとうよく朝死んでしまいました。
近所の人達は、きっとうわばみに毒気を吹きかけられたからだと信じ、またこんなことがあってはたまらないといって、大峯山に蛇塚を建てました。それからうわばみは、一度も出なくなったということです。
丸火自然公園東側あたりの話ですが、今はもう蛇塚は残っていません。