富士市長 渡辺彦太郎
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新たな希望に輝く昭和52年の新春を迎え市民のみなさんに謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
昨年は、新生富士市が誕生してから10年になりましたが、この間、社会経済情勢は大きな転換へ向けて推移してまいりました。即ち、従来の高度成長経済から低成長時代に移行すると同時に石油ショック以来の景気の落ちこみによる不況とまさに経済界激動のときであったと思います。しかしながら、市勢は各分野で伸張をつづけ、とりわけ、人口は当時の16万5千人から20万人を超え、工業出荷額は1,800億円から7,600億円台に達し、県東部の中核都市としての地位を築きあげてきました。反面、このような伸張過程における「ひずみ」ともいうべき自然破かいや生活環境の汚染が顕在化し市民の健康と安全を脅やかすこととなりました。
私は、こうした現代的繁栄と貧困の二重構造という矛盾のなかにおける都市問題と市民の命と暮らしを守る命題を抱え、昭和45年市長に就任以来、人間尊重、生活優先のまちづくりを展開してまいりました。
幸い市議会の深いご理解と市民の皆さんの積極的なご協力のもとで一部には、なお困難な問題を残しながらも着々とその成果が期し得られているものと確信を致しております。
さて、ここに新らしい年を迎えることになりましたが、本年も引続き景気停滞の経済環境のなかで、市政運営は一段と厳しさを加えるものと予測されます。しかし、いかに困雅な事態であれ、このような時にこそ市民の生活防衛、社会的弱者の福祉の増進に立ち向かわなければならないと考えます。
私は、こうした基本姿勢を堅持しながら新都市誕生以来、この10年がもたらした新らしい時代の教訓を踏まえつつ、深刻化する財政危機を克服し多様な市民要求と当面の課題である小・中学校の新増改築等義務教育施設の整備充実及び中小河川や都市排水の整備など生活環境の向上に努めるとともに、長い間の懸案でありました国一沼津バイパスについては、用地買収が順調にすすみ、昭和54年度供用開始に向けて既に一部で工事に着手致しました。
また、西富士バイパスについても旧ろう用地買収費の追加が内示されたことによって、いよいよ事業の促進がはかれることになってまいりましたので、これら待望の事業の早期完成を目指して、今後一層の努力を傾注してまいります。
さらに、巷間予測されている駿河湾地震対策や8・9静岡県東部における集中豪雨による公共災害復旧事業も昨年末、その採択がきまり本年早々から当市治水の要である沼川水系等の抜本的河川改修事業が、巨額な経費を投入して開始されることになりました。
このように、災害の早期復旧と未然防止をはかって、市民生活の不安を解消し、将来的展望にたった快適な魅力あるまちづくりのため本年も全力を投球する決意であります。
市民の皆さんにおかれましても、昭和52年が新らしい年をきりひらく端緒となるよう特段のご理解とご協力を賜わりますようお願い申しあげますとともに、ご多幸と健康をお祈りし、年頭のご挨拶と致します。