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【広報ふじ昭和51年】こんどは窒素酸化物の総量規制に向って

硫黄酸化物に続いて大気汚染の防止へ…

富士地区の大空クリーン作戦は、硫黄酸化物の大巾な前進にもかかわらず、公害病の認定患者がいっこうに減らないばかりか年々増加する傾向にあるため、こんどは光化学スモッグの原因物質としても直接人体に影響の多い窒素酸化物についても総量規制方式に移行する公算が大きく市公害課でこのほどこの方向へ向けての基礎資料がまとまりました。

規制対象施設の拡大と基準の強化で総量規制の方向へ

 大気汚染防止対策の一つとして窒素酸化物については、去る48年5月に環境基準が二酸化窒素について定められ、原則として5年以内に目標を達成するよう努めることになっています。
 この発生源対策としては、固定発生源としてばい煙発生施設。また、移動発生源として自動車を中心に規制対策が段階的に進められてきました。そして、同年8月に第1次規制基準が示され、乗用車の排ガス53年度規制もようやく計画どおり実施できるメドがつきました。また50年12月には第2次規制として規制対象施設の拡大と基準の強化がはかられ、公害行政の中で総量規制方式がとられる方向づけがなされてきました。


当面は52年12月までに第2次規制の目標達成を……

 その中で、当面は特に富士地区に多い固定発生源対策として、いままでボイラーの排ガス量は新設するものについては1時間に4万ノルマル立方メートル以上、既設のものについては10万ノルマル立方メートル以上の施設を対象としていましたが、昨年12月からは1時間に1万ノルマル立方メートル以上等と規制対象施設が拡大されるとともともに規制基準が強化され、52年12月1日までに基準に沿うよう規制を進めることになりました。
 この対象となる事業所は、富士市では14工場、34施設ですが、更に第3次規制では当然これに中小工場も加えられ、規制対象施設の拡大と排出基準の改訂強化により、排煙脱硝技術の開発状況や低窒素化燃料確保等地域の実情に反映できてしかも、これに対応できる工場単位での総量規制がとられることが予定されています。


発生源の状況調査

 こうした先行きの見通しを踏まえて市は、県や近隣市町村(富士宮市、由比町、蒲原町、富士川町、芝川町)と共同で去る49年に日本気象協会に依頼し、窒素酸化物に係る環境汚染の実態解明に必要な総量規制実施のための基礎調査を行いました。


問題は固定発生源からの排出

 窒素酸化物の発生源としてよく知られている煙突や自動車の排気口から大気中に排出された直後の窒素酸化物は、大部分が一酸化窒素であり排出直後は高い濃度で大気中に移流拡散しながら二酸化窒素になります。そして、再び光分解によって一酸化窒素にもなります。こうした窒素酸化物の濃度シュミレーション(模擬実験)を行った結果、富士地区の窒素酸化物の排出量は年間約10,585.9トンにのぼるものと予想され、このうち固定発生源から排出されるものは74パーセント、7,778.9トン(年間)で、残り26パーセントの2,807トン(年間)が移動発生源による汚染負荷量となっており、このうち二酸化窒素濃度についてみると市内9測点で年平均値が0.024PPM(49年、50年)で最も高い今泉小学校では0.033PPMと大巾に環境基準を上まわっています。このように数字から見てもわかるとおり、富士地区においては、固定発生源からの窒素酸化物の排出量が圧倒的に多く、これが当然問題になってくるわけです。


将来の環境濃度は9.8PPBに

 去る49年に濃度の模擬実験を行った結果と実測値とを照合し、環境濃度の将来を予測すると富士地域の環境濃度は9.8PPB以下とすることによって環境基準を達成することができ、したがって、この目標値9.8PPBを満足させるためには現在の窒素酸化物の総排出量を平均で60〜70パーセントカットする必要があるわけです。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 実測値と計算値(NO2 PPb)

規制にはなお多くの問題点

 しかし、この窒素酸化物の総量を規制するまでには、なお多くの問題が横たわっており、推進に必要な次の点が指摘されます。
1、排煙脱硝技術の開発
2、良質燃料化の推進
3、自動車排出ガス対策の強化(乗用車・ディーゼル車・トラック)
4、発生機構の究明と疫学的調査の実績
5、1〜4の対策が適応できる経済性の検討


とりあえずは発生源監視の強化など

 そこで、県下でも窒素酸化物による大気汚染の特に著しい当市では、総排出量7,060.7トン(年間)の73.5パーセントをしめる固定発生源をどのように規制するかが当面の課題となるわけですが、固定発生源の負荷量をこれ以上増やさないために連続測定器の設置指導による発生源監視の強化をはかるとともに脱硝装置が開発され次第、卒先して設置することを指導し、また、ガス燃料等の低窒素化燃料への転換など今後の総量規制移行に備えて積極的な指導をしていくことにしています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 当面はガス燃料等への燃料転換指導を…
添付ファイル
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