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【広報ふじ昭和51年】田子の浦港のヘドロ処理事業を近く再開

 富士市内の工場、事業所などの汚水は、工場専用排水路の岳南排水路や沼川及び潤井川を経て大部分が田子の浦港に流れ込んでいます。この汚水の中に含まれる浮遊物質(SS)の一部が、田子の浦港内に沈殿たい積して汚泥(ヘドロ)が形成されます。
 たい積した汚泥は、港内の底質を著しく悪化させ夏場には硫化水素ガスなどが発生し、環境汚染をもたらす原因となっています。また、汚泥の中に含まれる汚染物質にはPCBなどの有害物質も存在し、駿河湾海域の汚染にもなりますのでこれを防止するため速やかに、たい積汚泥のしゅんせつを実施し、一定の場所に封じ込め、環境汚染を防止する必要があります。


■ヘドロ処理事業再開計画

 これまで実施した汚泥処理事業は富士川河川敷を利用して大きな脱水場をつくり、海岸線にパイプを敷設し、ポンプ船でしゅんせつした汚泥を、脱水場に流送し薬剤などを加えて自然脱水した後、土砂と混合して埋立てました。
 5回目の汚泥処理事業を再開するにあたり、事前に港内にたい積している汚泥の量や質、硫化水素ガスの発生状況などについて、県は昨年8月から9月にかけ富土市,業界などの技術者立会いのもとに事前調査を行いました。
 その結果、汚泥のたい積量は約51万立方メートルと確認され、汚泥処理事業の再開について技術的な検討が重ねられていました。たい積汚泥のなかにはPCB平均28.5PPM、カドミ1.56PPM、総水銀0.54PPMが検出されましたが、カドミ及び総水銀については、自然界の土壌中に含まれているものと比較しても問題になる濃度ではありませんでした。
 またガスの発生状況調査でも水面上で硫化水素ガス0PPM〜10PPM程度と昭和46年当時に比べて生活環境への影響は格段と改善されていました。しかし、このまま放置するとたい積量の進行につれて環境を汚染する恐れが生じますので、公害を未然に防止するため、しゅんせつ事業を再開する必要が生じた訳であります。
■発生源別のたい積量

産業活動分   267.073立方メートル
大沢崩土砂分  154.086立方メートル
家庭下水分    32.476立方メートル
自然流下分    17.349立方メートル
その他      42.741立方メートル
 合計513.725立方メートル。このうち、産業活動分の51.99パーセントは、発生原因者負担の原則にもとづき企業がその費用を負担することになります。


■汚泥処理工法は…

 港内にたい積している汚泥処理事業計画によると、昭和51年度の処理量15万立方メートルは港湾施設の中に埋立て、残量の36万立方メートルは、引続き処理することにしています。
 今回の汚泥処理工法は、第3次処理までに研究実施してきた経験をもとに、県では専門研究部会を設けて専門家による検討を重ねてきました。その結果、港底にたい積している汚泥をしゅんせつ船で港内の台船に積込み、添加剤を加え公害防止処理をします。
 ヘドロ1立方メートルに対し、セメント15パーセント、焼却灰5パーセント、石膏6パーセントの配合割合でミルク状にしてヘドロに混入し台船内で機械により混合します。混合したヘドロは、台船内で24時間放置し脱水化の状態にしたものを埋立処分地に運搬し埋込みます。
 埋立処分地は、依田橋寄りの水面貯木場の一部16.370平方メートル及び、鈴川寄りの水面貯木場17.730平方メートルに埋込み、上部に1メートルの覆土をして陸上貯木場として利用する計画です。
■二次公害発生防止対策も

 しゅんせつの際には、その区域をシートで囲い海域と遮断した中でしゅんせつを行い、周辺の海水への汚染を防止します。また、硫化水素などのガス発生については、ガス発生の少い冬場を中心とした期間にしゅんせつを行い、工事中には薬剤を散布して完全に除去します。
 監視方法は、港の周辺に水質・大気の監視所を設けて常時監視を行います。また混合汚泥に含まれているPCBなどは、溶出試験の結果をみてもPCBなどの有害物質は検出されませんので問題はありません。
 埋立後の汚泥はセメントなどの添加剤により固化するため、処理した汚泥の埋立後は二次公害の発生はまずないものと考えられます。


■今後の恒久対策

 田子の浦港に流れ込む汚水が現状のままでは、再び同じような問題の発生が考えられます。そこで、現在規制されている工場排水の基準を更に厳しくして工場排水が原因で田子の浦港に堆積する年間約7万立方メートルの汚泥を2万立方メートルまで削減する計画が進められており、この程度の堆積汚泥は、県が行う通常の維持しゅんせつで処理できるので今後、再び問題が起らないよう配慮されています。
 なお、市はこの事業の再開計画をうけていち早く田子浦港汚泥処理対策班を編成し、慎重に検討を加えてまいりました。その結果、県に全面的に協力する立場で今後地元の依田橋及び鈴川の各町内にこの事業計画の説明会を開催するなど、地元の皆さんのご理解とご協力をお願いしてまいります。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 田子の浦港貯木場埋立場所
- 写真あり -
( 写真説明 ) 前回まで行われたパイプ流送によるしゅんせつ
添付ファイル
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