枝打は、植栽した「すぎ」や「ひのき」がある程度大きくなってから下枝を切り落してやる仕事で、節のない上等の木材をつくるために行ないます。生長の良い林で10年生、遅い林で15年生位になると木が大きくなるにつれて、下枝は日光があたらなくなり枯れていきます。枯れた枝はまそのままにしておくと幹が太るにつれて巻き込まれ、死に節になります。特に「ひのき」は、枯枝が落ちにくく枝打をしてやる必要があります。枝打は、枯枝ばかりでなく、生きている枝の一部も切落します。最初のうちは地上2メートル位までですから手がとどきますが、木が大きくなると木に登って枝打をしなければならず、なかなか大変な仕事ですが、良質の柱材不足で市場性が高いため、富士市林業振興対策協議会の会員は熱心に枝打しています。
富士市は、県下で最初の試みとして、枝打の実施に対して補助金を出しています。そのねらいは、富士山麓には富士地区、駿東地区などを合せると4万ヘクタールの「ひのき」の林がありその半分以上の面積が枝打を待っている20年生前後の林です。みんなで枝打をすれば全国でも有名な「ひのき」優良柱材の産地になります。節の無い柱材は、普通の柱材の価格の5倍もします。そこで、他の市町村に先がけで枝打をし、無節材がとれるような手入をした林を登録して、後日、伐採し売却するときの証拠とし、その林を「パイオニアの森」と名付け、富士山麓の緑を守るとともに林業の経営を有利にするための先駆者の森をつくりましょう。